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生地の引っ張り試験結果から衣服圧を計算する 「衣服圧シミュレーション技術」を開発

2008年6月9日

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このたび当社は、生地の引っ張り試験結果から衣服着用時の人体にかかる圧力(衣服圧)を計算する「衣服圧シミュレーション技術」 を開発しました。本技術を活用することで、縫製をしなくても、生地の引っ張り試験結果から衣服圧の予測・計算が可能で、衣服圧の分布も詳細に計算できま す。今後は、本技術を使った商品開発、および受託試験を展開していきます。
なお、本研究開発は、経済産業省の補助金の交付を受けて取り組みました。

1.「衣服圧シミュレーション技術」の開発にいたる経緯
(1) 皮膚感覚を機器により評価するさまざまな「感覚計測技術」を開発
当社は1982年に、「むれ感」というあいまいな感覚を機器計測により評価する技術を駆使して「衣服内気候®」素材(糸・生地)を開発しました。
その後も、さまざまな皮膚感覚を評価する「感覚計測技術」を構築し、商品開発に活用・展開してきました。感覚を機器により評価するため、発汗マネキン TOM®Ⅲ、発汗マネキンSAM®および脚型着用圧試験機など、独自の計測装置も開発し利用してきました。
発汗マネキンSAM®
発汗マネキンSAM®
(2)「衣服圧シミュレーション技術」の開発とその意義
前述のように、当社は独自の感覚計測技術により、商品開発を効率的・効果的に進めてきました。衣服圧に関しても、脚型着用圧試験機を開発し、パンティストッキング、スパッツなどの衣服圧を測定したり、衣服圧計測装置により着用時の圧迫感の評価に取り組んできました。
しかし、これらの評価には、縫製した製品でなければ測定・評価できない、衣服圧の分布を詳細に測定できない、といった問題点があり、縫製を行わなくても衣服圧が計算できる技術が強く求められていました。
そこで当社は、新しいステップとして、生地の引っ張り試験結果から衣服圧を計算する「衣服圧シミュレーション技術」を開発しました。従来の感覚計測技術にこの計算技術が加われば、衣服圧に関する多面的な快適性評価が可能となります。
2.当社が開発した「衣服圧シミュレーション技術」の概要
「衣服圧シミュレーション技術」とは、生地の引っ張り試験結果から、衣服を着用した状態での衣服圧を予測・計算する技術です。
従来、衣服圧は、生地の引っ張り試験の伸長長さ(変位)と、その時にかかる力(荷重)の初期の傾きから計算しており、体に密着する衣服や高伸長率で着 用する衣服の衣服圧は計算できませんでした。また、人体に密着して着用する衣服を着付ける計算技術もありませんでした。このたび当社は、衣服圧を高精度で 計算することができる技術を構築しました。特長は以下の2点です。
(1) 衣服の縫製を行わなくても、生地の状態で衣服圧を予測・計算することができ、衣服圧の分布も詳細に計算することができる
(2) 衣服圧の設計値に対し、衣服を縫製しなくても最適な生地、最適な型紙を選定することができる
次に「衣服圧シミュレーション技術」の仕組みを示します。
(1) 編物モデルの作成
編物の伸長変形の特徴は以下の2点です。
①伸長長さ(変位)と、その時にかかる力(荷重)が比例関係にならない(非線形性)
②経方向、緯方向、斜め方向それぞれの伸長変形挙動が異なる(異方性)
これらの特徴を表現できる編物モデルを作成しました。
(2) 着付け計算技術の構築
型紙データを人体データに着付ける計算過程において、人体データは曲率があるため直接計算すると型紙データにしわが発生し、計算が途中で止まるケース が発生します。そこで、型紙データと人体データとの間に、円筒型の中間体を配置することで、安定した計算ができるようにしました。
上記、編物モデルと着付け計算技術により、下図の様に実測値と良く一致した計算値を得ることができます。
着付け計算技術の構築
3.今後の展開
(1) 「衣服圧シミュレーション技術」をスポーツウエア、インナーなどの商品開発に活用していきます。
(2) 「衣服圧シミュレーション技術」による衣服圧計算の受託試験を受けていきます。
(3) 衣服以外の「異方性」、「非線形性」の変形挙動を示す用途へもこの技術を展開していきます。
(4) 今後さらにこの技術を向上させ、以下の開発を進めていきます。
①生地伸長変形のモデル改善
②姿勢変化・動作時の衣服圧の計算
③人体モデルを剛性体から弾性体に変更した場合の衣服圧の計算

以上

<本件に関するお問い合わせ先>

東洋紡績株式会社 広報室
TEL 06-6348-4210

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