| 1. | 背景 |
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昨今、パソコンや携帯電話などのモバイル機器にはさまざまな通信方式に対応したアンテナが必要となってきており、搭載されるアンテナの数が増えてきています。その一方で、モバイル機器にはさらなる軽量化・薄型化が求められています。これまでは、棒型や板型のアンテナを取り付けたり、銅箔をエッチングしてモバイル機器の中の基板に取り付けたりしていました。モバイル機器の筐体に直接アンテナを作製し、アンテナの容積を小さくすることができれば、モバイル機器の軽量化・薄型化が可能となります。そのため、筐体に直接電気配線を形成する技術への期待は大きくなってきています。
筐体に直接電気配線を形成する技術は、MID(Molded Interconnect Device)と呼ばれ、射出成形とメッキを繰り返す方法や、あらかじめ導電物質を混ぜた樹脂を成形した後にレーザーによりパターニングした後、メッキをする方法などがあります。しかし、いずれの方法も製造工程が複雑、材料費が高いなどの理由から、小さな部品には採用されていますが、筐体への直接電気配線に利用された例はほとんどありませんでした。
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このたび、当社と東芝はパッド印刷法(*1)で低温硬化型導電ペーストの印刷を行うシンプルな方法で直接電気配線を形成する技術と、それに適合した導電ペーストを開発しました。
| *1 パッド印刷法・・・ |
印刷方法の一種。印刷したい回路を作製した凹版にペーストを流し込み、風船状のパッドを凹版に押し付けペーストをパッドに転写させ、パッドに転写したペーストを対象物に印刷する印刷方法。 |
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| 2. | 本開発の特長 |
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(1)導電ペーストの硬化温度を大幅に低下
従来の導電ペーストの硬化温度は130℃以上と高く、導電ペーストを硬化する時にモバイル機器の代表的な筐体樹脂であるポリカーボネート/ABS樹脂が変形してしまう恐れがありました。しかし、本開発品の硬化温度は70℃で、ポリカーボネート/ABS樹脂の熱変形温度より低いため、筐体樹脂が変形することはありません。また、硬化に必要なエネルギーを低減することもできます。
(2)シンプルな方法で筐体に直接電気配線を形成
この導電ペーストを使用すれば、筐体樹脂に導電ペーストをパッド印刷法で印刷し、乾燥、無電界メッキ(*2)するだけのシンプルな方法で、直接電気配線を形成できます。
| *2 無電界メッキ・・・ |
通電を必要としないメッキ方法。 通電が必要無いので、電気を通さない素材にもメッキが可能。 |
(3)高温高湿環境試験をクリア
今回開発した導電ペーストで形成した電気配線は、60℃、90%RH(相対湿度)の環境に長時間放置して行う高温高湿環境試験もクリアでき、メッキ工程で発生しやすい膨れの不良も起こりにくくなっています。
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| 3. | 今後の予定 |
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今後、東芝と共同で信頼性を高め、モバイル機器への筐体一体型アンテナの作製および量産を目指します。また、従来の導電ペーストより硬化温度を低下できたので、ポリカーボネート/ABS樹脂より熱変形温度の低い筐体樹脂への適用も検討していきます。 |