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東洋紡績(株) 敦賀バイオ研究所 川井 淳
はじめに
Can Get Signal® Immunoreaction Enhancer Solutionは、ウェスタンブロッティングやELISA(enzyme-linkedimmunosorbent assay)などの解析でしばしば問題になる、感度不足や高いバックグラウンドを改善するために開発された免疫アッセイ用の反応促進試薬です。 Can Get Signal® は、抗原と抗体との反応を促進する効果があり、従来法に比べ数倍から数十倍の高いシグナルを得ることができます。特に、反応性が低い抗体で顕著な効果を示す傾向があることが確認されています。 また、一次抗体用と二次抗体用にそれぞれ組成を最適化しているため、バックグラウンドは低く抑えられ、高いS/N比の結果を得ることができます。 Can Get Signal® は、希釈せずにそのまま使用可能なReady-to-Useタイプです。使用法は、これまでにお使いになられていた抗体希釈液の代替として使用していただくだけで、とても簡単です。 本号では、Can Get Signal® を用いたウェスタンブロッティングによるヒト上皮増殖因子受容体(EGFR)の検出、およびサンドイッチELISAによるヒトMAPキナーゼ(ERK2)の検出についてご紹介いたします。
1.ウェスタンブロッティング <方法> A431細胞(ヒト外陰部腫瘍細胞)を4×SDSサンプルバッファーに懸濁し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を行いました。電気泳動を行ったゲルからPVDF膜へ、セミドライ法によりタンパク質をトランスファーし、ブロッキング液(5%スキムミルク/TBS-T)を用いて室温で1時間ブロッキング処理を行いました。 一次抗体反応は、抗ヒトEGFR抗体(mouse IgG1)【DAKO社製】をCan Get Signal® Solution 1で2,000倍希釈した液を用いて、室温で1時間行いました。また同時に比較対照として、通常抗体の希釈に用いられるTBS-T(TBS,0.1%Tween20)を用いて同様に実験を行いました。 二次抗体反応は、抗マウスIgG(FabSpecific、HRP標識)【SIGMA社製】をCan Get Signal® Solution 2またはTBS-Tを用いて20,000倍希釈した液で、室温で1時間行いました。検出は、ECL Plus【Amersham社製】を用い、微弱発光検出システムFAS-1000【弊社製】により撮像しました。
<結果と考察> 段階希釈したA431細胞破砕液を電気泳動したものから、EGFRの検出を試みました。抗体を、通常用いられるTBS-Tで希釈してアッセイを行ったものでは、非特異的な反応が多数見られた上、ターゲットのバンドが不明瞭かつEGFRをほとんど検出することができませんでしたが、その一方でCan Get Signal® を用いて抗体を希釈したものでは、非特異的な反応が非常に低く抑えられた上、ターゲットのバンドも非常に明瞭かつ高いS/N比でEGFRを検出することができました(図1)。

2.サンドイッチELISA 抗体の固相化反応は、抗ヒトERK2抗体(mouse IgG2b、【Santa Cruz Biotechnology社製】を50mM 炭酸ナトリウムバッファー(15mM 炭酸ナトリウム、35mM 炭酸水素ナトリウム)を用いて20倍希釈した液を、ELISA用96穴プレートに1ウェルあたり100μl分注し、37℃で1時間反応を行いました。 ブロッキングは、20%ブロッキング液【ナカライテスク社製】を各ウェルに100μl分注し、37℃で1時間行いました。抗原は、弊社無細胞タンパク質合成システム「PROTEIOSTM Wheatgerm cell-free protein synthesis kit」を用いて合成したHisタグ融合型ヒトMAPキナーゼ(His-ERK2)を、Can Get Signal® Solution 1を用いて100〜1,000倍希釈したもの、一次抗体は、抗Hisタグ抗体(rabbit IgG)【SantaCruz Biotechnology社製】を、同じくCan Get Signal® Solution 1で200倍希釈したものを、各々同時に50μlずつ分注しウェル内で混合して、37℃で1時間、抗原・一次抗体反応を行いました。 また比較対照として、Can Get Signal® Solution 1の代わりに10%ブロッキング液【ナカライテスク社製】を用いて同様の操作を行いました。 二次抗体反応は、抗ウサギIgG(HRP標識、SantaCruz Biotechnology社製)をCan Get Signal® Solution 2または10%ブロッキング液を用いて2,000倍希釈した液を100μl分注し、37℃で1時間行いました。 検出は、基質として3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)を用い、37℃で20分間反応後、1N硫酸で反応を停止し、450nmのODを測定しました。
<結果と考察> His-ERK2合成サンプルおよびネガティブコントロールサンプル(mRNAを添加せずに無細胞タンパク質合成反応を行ったもの)を同様に段階希釈し、サンドイッチELISAでのHis-ERK2の検出とバックグラウンドレベルの検討を行いました。 抗体および抗原を10%ブロッキング液で希釈したものでは、アッセイを行った濃度域ではほとんど特異的に検出を行うことができませんでしたが、Can Get Signal® を使用したものでは、バックグラウンドレベルも低く抑えられ、非常に高いシグナルを検出することができました(図2)。 本号では、従来法では検出が困難であったターゲットに対し、Can Get Signal® を用いることで、同じ抗体を用いることによる検出感度を大幅に向上させ、かつ特異性の高い結果が得られることを示しました。さらに、Can Get Signal® を用いることで、使用する抗体濃度を下げても従来と同じシグナルを得られることが多く、貴重な抗体のアッセイ一回あたり使用量を低減することも可能です。今回ご紹介した以外にも、現在、様々なターゲットに関する有意なデータが集まりつつあります。抗体の性能が低くてお困りの方、また、貴重な一次抗体を節約して使いたい方、ぜひ一度Can Get Signal® をお試しください。

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