東洋紡ライフサイエンス事業部
実施例 蛋白質・ペプチド関連
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免疫反応促進試薬 Can Get Signal® ImmunoreactionEnhancer Solution

ウェスタンブロッティングにおけるブロッキング条件の検討

東洋紡績(株) 敦賀バイオ研究所 川井 淳

はじめに

ウェスタンブロッティングにおいて良好な結果を得るためには、抗体濃度の至適化とともに、ブロッキング条件の検討が非常に重要な要素となっています。解析されるタンパク質や用いる抗体には、それぞれに多様な性質があり、最適なブロッキング条件も異なります。ブロッキング剤として主に用いられるものとしては、スキムミルク、カゼイン、ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、正常血清等がありますが、万能といえるものはなく、またそれらの添加濃度やインキュベート温度・時間によっても効果が異なります。用いる抗体の種類によっては使用に適さないブロッキング剤もあります。従って、最も良好な結果を得るためには、それぞれの解析に最適なブロッキング条件をその都度決定することが好ましいと言えます。

Can Get Signal® Immunoreaction Enhancer Solutionは、ウェスタンブロッティングE L I S A( enzyme -linkedimmunosorbent assay)などの解析でしばしば問題になる、感度不足や高いバックグラウンドを改善するために開発された免疫アッセイ用の反応促進試薬です。

Can Get Signal® の使用法は非常に簡便で、従来ご使用されていた抗体希釈液の代替として用いるだけで、現行の実験系をほとんど変えずに高いS/N比の結果を得ることができます。ブロッキングにはいずれのブロッキング剤を用いることも可能ですが、ブロッキング条件の至適化を行うことによって、より改善された結果が得られると期待されます。

本ページでは、Can Get Signal® を用いたウェスタンブロッティングにおいて、ブロッキング剤を変えた場合に得られる結果の違いを、最も頻繁に用いられるブロッキング剤であるスキムミルクとBSAを用いて比較検討した例についてご紹介いたします。


方法


1.シグナル増強効果の比較
サンプルを4×SDSサンプルバッファーに懸濁し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を行いました。電気泳動を行ったゲルからPVDF膜へ、セミドライ法によりタンパク質をトランスファーし、ブロッキングバッファー(5%スキムミルク/TBS-Tまたは5% BSA/TBS-T)で室温で1時間ブロッキング処理を行いました。

一次抗体反応は、抗体をCan Get Signal® Solution 1で希釈した液を用いて、室温で1時間行いました。また同時に比較対照として、通常抗体の希釈に用いられるTBS-T(TBS、0.1%Tween20)を用いて同様に実験を行いました(図1のみ)。

二次抗体反応は、抗体をCan Get Signal®  Solution 2またはTBS-Tを用いて希釈した液(図1のみ)で、室温で1時間行いました。検出は、ECL Plus【AmershamBiosciences社】を用い、弊社微弱発光検出システムFAS-1000により撮影しました。


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2. Can Get Signalを用いた場合のスキムミルクとBSAのブロッキング能の比較

A431細胞またはHeLa細胞抽出液を用い、それぞれからEGFR、Actinを検出する系において、ブロッキング剤としてスキムミルクまたはBSAを用いた場合に得られる結果の違いを、直接比較しました。

A431細胞からEGFRを検出する系では、BSAよりスキムミルクを用いた方がわずかに強いシグナルが得られ、またBSAを用いた場合には分子量マーカータンパク質に由来する非特異的シグナルが強力に検出されました(図2)。

一方、HeLa細胞からActinを検出する系では、BSAを用いた方がスキムミルクより全体的に強いシグナルが得られました。多少非特異的なシグナルも強くなってますが、S/N比はほぼ同等であり、BSAの方が検出感度が高いという結果になりました(図3)。

一般的に、BSAよりスキムミルクのほうが強力なブロッキング効果がありますが、ここに示したように、ブロッキング剤の効果はタンパク質・抗体により違いがあり、それぞれ最適なブロッキング条件は異なるということがわかりました。
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●今回は、Can Get Signal® を用いたウェスタンブロッティングにおいて、スキムミルク、BSAいずれのブロッキング剤を用いた場合でもそれぞれより改善された結果が得られるということ、またそれぞれのタンパク質・抗体に最適なブロッキング条件が異なり、条件検討により更に良い結果が得られることを示しました。

Can Get Signal® ウェスタンブロッティングのシグナルを強化し、高いS/N比の結果を得るための強力なツールですが、ブロッキング条件の最適化により更に明瞭な結果を得ることができます。抗体濃度の条件検討でもなかなか結果が改善しない場合などには、ブロッキング条件の至適化検討を強くお勧めします。

※ご注意※
ブロッキング剤の希釈液としてCan Get Signal® を用いないでください。
ブロッキング能が低下する場合があります。