東洋紡ライフサイエンス事業部
実施例 遺伝子組換え・クローニング
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増幅産物の末端の形状とTAクローニング

(1)TdT活性と3’→5’Exonuclease(校正)活性
 増幅断片の3’末端に1塩基(主にアデニン)を付加するTdT(Terminal deoxynucleotidyl transferase)活性は、どのPCR酵素にも備わっている活性です。しかし、校正活性が充分に強い酵素の場合、増幅産物の末端のほとんどは平滑化されてしまいます。

 A付加を受けた増幅断片はTAクローニング法(下記の方法)を用いてそのまま直接クローニングすることが可能ですが、平滑化された増幅断片はそのままではTベクターと連結させることができませんので注意が必要です。
 以下に、弊社の代表的なPCR酵素がどちらの末端を生じるかを示します。

 A付加を受けた増幅産物を生じる酵素  平滑化された増幅産物を生じる酵素
 rTaq DNA Polymerase  KOD DNA Polymerase
Tth/rTth DNA Polymerase   KOD DNA -Plus-/KOD -Plus-Ver.2
 KOD Dash  KOD FX
 Blend Taq® /Blend Taq ® -Plus-   ↑KODシリーズ
※KOD DashとBlend Taq®α型PCR酵素が混合されていますが、混合量が少ないので末端のほとんどは1塩基付加を受けています。

(2)TAクローニングについて

200805222-3-02.jpgA付加を受けたDNA断片はそのままTベクター(3’末端にTの1塩基突出を有するベクター)を用いる方法TArget CloneTM でクローニングを行うことができます。一方、平滑化された増幅産物をTAクローニングするには、特別な方法を用いる必要があります。 TArget CloneTM -Plus-は、上の表で右に示されたKODシリーズのPCR酵素によって増幅されたPCR産物をTAクローニングするために開発されたキットです。図1に示すように TArget CloneTM -Plus-には、 KOD DNA Polymerase(以下、KOD)の中和抗体とTaq DNA Polymerase(以下、Taq)が使われています。KODは耐熱性がTaq等に比べて高く、PCR反応液中の酵素は反応後もまだ活性を保っています。よって、この溶液にTaqを加えて塩基付加を行ったとしても、KODの残留校正活性でDNA末端は再度平滑化されてしまいます。そこで、このキットではKODによる平滑化を防止するために、KODの中和抗体が添加されています。TaqTdT活性によりPCR産物の3’末端に1塩基を付加し、KODの中和抗体は校正活性をブロックすることで末端の再平滑を防止します。こうして1塩基付加を受けたPCR産物は、そのままキット添付のTベクターと連結することが可能です。