衣服内気候の快適性を満たす高次複重層糸と多層構造ニツト

高次複重層糸図

PRH50 の水分・熱の移動メカニズム

  1. 最外層の親水性繊維が、人体から出た汗(気相、液相とも)を素早く多量に吸う。
  2. 液相の汗
    最内層の疎水性繊維の毛細管作用で、中間層を経て最内層へ移行する。
  3. 最内層にきた液相の汗のうち、汗自身の熱を奪い気化し、気相になったものから、順次中間層を経て、外気側の最外層の親水性繊維に吸いとられる。
  4. 気相の汗
    人体(皮膚)と外気側の水蒸気圧差のため、最外層を通って、最内層にはいかず、そのまま外気側へ移行する。
  5. 外気側の最外層から汗(気相になったもの)を素早く発散する。

多層構造ニット

汗が衣服に吸われて、外気にはき出す過程は次の3つからなる。
①肌の汗をすみやかに吸い取る。
②汗を布の表面層へ移送する。
③吸い上げられた汗をすばやく外気へ発散させる。

この各々の役割をはたすには、基本的には次のような素材と構造が望ましい。
①肌側:「汗をすみやかに吸い取る」ためには、吸湿性、吸水性のある素材で密な組繊が良い。とくに、肌触りを重視するのであれば綿が望ましい。
②中間層:「汗を表面層へ移送する」ためには、肌側と外気側を分離する意味でつなぎ糸として疎水性の合繊を使うのが良い。粗な組織で簿くないと表面層へ汗を移送しない。
③外気側:「吸い上げられた汗をすばやく外気へ発散させる」ためには、肌側より粗な組織で表面積を大きくし放湿性の高い素材を使うのが良い。
実際の衣服には、外観、耐久性など衣服内気候以外の要素も考える必要がある。そのときは上記の基本的な考え方をもとに用途に応じて対処すればよい。


戻る一覧表に戻る