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製品開発ストーリー

「耐熱性」と「高剛性」を両立させたOPP!環境負荷低減への可能性とは?


包装材にも求められ始めている環境配慮性

~現在のOPPフィルムはどのような位置付けでしょうか?~

食品包装には、様々なフィルムがフィルム単体あるいはラミネートなどの積層構成で使用されています。その中でも、表基材として使用される2軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルム)は、その優れた特性と扱い易さにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルム)、ナイロンフィルムとともに大きなシェアを占めます。OPPフィルムは、水蒸気バリア性、耐薬品性、低比重など、優れた長所がある一方で、耐熱性が低い、剛性が低いという短所があり、使用用途が制限されている分野もあります。

~今後の包装フィルムに求められるのはどのようなことでしょうか?~

最近では、環境負荷低減を包装材料にも求められることが増えており、①リサイクルしやすいように、同じ樹脂種類のフィルムを使用した包装設計“モノマテリアル化”、②出来るだけプラスチックを使用しないようにする“減プラスチック”、③バリア性により中身の消費期限を延長する“食品ロス”の低減、④石油由来の樹脂を使用しない“バイオマス化”、⑤リサイクル樹脂を使用した“リサイクル製品”など、環境負荷低減効果が重要になってきています。

今後包装フィルムに求められる
設計のポイント

  • モノマテリアル化

  • 減プラスチック

  • 食品ロス低減

  • バイオマス化

  • リサイクル

環境配慮型OPPとして誕生したP2171

~P2171はどのようなフィルムですか?~

前述したポイントを念頭に設計したのがP2171(厚み:20、25、30μm)です。
P2171は、OPPフィルムの基本特性は維持したまま、短所であった耐熱性と剛性を向上させたフィルムです。高温(150℃)での熱収縮率が一般OPPフィルムの約1/5程度に低減しています。熱収縮率だけでなく、高温時の加熱伸びも小さく、加工ロス率改善や増速対応にも繋がります。また、剛性も一般OPPフィルムより約10%向上しています。耐熱性と剛性が向上したことにより、これまでよりも使用範囲が広くなり、①易リサイクル性“モノマテリアル化”しやすいフィルムであるだけでなく、剛性が高くなった分、厚みを下げることが出来る②“減プラスチック”にも効果が期待出来ます。また、このフィルムをベースに使用したバリアフィルムも開発しており、③“食品ロス”にも貢献出来ると期待しています。最近では、環境負荷低減の意識向上の影響もあり、P2171に対してのお引き合いも多くいただくようになり、販売実績も伸びてきております。

~P2171の開発や販売するうえで苦労した事はありますか?~

開発面では、一般OPPフィルムよりも耐熱性・剛性を上げるため、原料や製造条件を、従来には無い範囲でトライする必要があり、多くの失敗はありましたが、何とか目標の性能を達成することが出来ました。多くの方々の協力もあり、無事に製品化することが出来ました。

また販売面では、従来のOPPに無いコンセプトの商品であり、耐熱性、剛性と言う2つの異なる特長を持つため、それぞれどういった形でお客様へ訴求するかについてはかなり頭を悩ませました。

耐熱性については加工ロスなど既に課題を抱えていたお客様からの引き合いが強く、課題解決のツールとして訴求しやすい部分もありましたが、P2171上市時はまだ減容化=環境対応という意識が普及しておらず、剛性を活用した減容化での採用が伸びなかった事は苦労した点の一つに挙げられます。

ここ最近になり、P2171上市当初よりも環境対応のニーズが高まってきており、P2171やその派生商品で減容化による環境対応を実現していくことが今後の目標です。

P2171製袋サンプル無料発送のお知らせ

ここまでご紹介させていただいたP2171フィルムと一般OPPフィルムを使用した製袋サンプルの写真をご覧いただくと、耐熱性の差がよく分かると思います。実際に、お手に取って、直接ご覧になりたい方が見えられましたら、下記のメールアドレスまで、会社名・部署名・氏名・住所・電話番号記載の上、ご連絡ください。無料にて発送させていただきます。

東洋紡株式会社 パッケージング開発部 木下

P2171フィルムと一般OPPフィルムの比較

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