成形用熱可塑性ポリエステル樹脂 バイロペット 取扱について
成形条件の選定
予備乾燥
熱可塑性ポリエステル樹脂は、僅かな水分でも成形中に加水分解などで、発泡、鼻たれ、外観不良を招くだけでなく、物性の低下を引き起こします。成形安定性や成形品の品質確保の為に必ず予備乾燥を実施してください。また、乾燥したペレットを大気中に放置しておくと吸水しますので、30分以上放置した場合は、再乾燥を行なってから使用してください。
乾燥条件の目安(120℃は不適)
樹脂温度 乾燥時間
130℃ 4〜6時間
140℃ 3〜5時間
バイロペットは、成形前に必ず予備乾燥が必要です。
ペレット水分率が0.025%以下(より好ましくは0.020%以下)になるよう、乾燥条件を設定してください。
予備乾燥は、ホッパードライヤーや棚式乾燥機で乾燥が可能です。特に除湿タイプの乾燥機を使うことをお薦め致します。乾燥機のタイプや乾燥量に依って多少乾燥条件が異なりますので、ペレット温度などの確認を行ってください。
特にガスを重視する成形品については乾燥時間を長めに設定し、極力水分率を低くしてください。
成形条件
シリンダー温度
シリンダーの推奨温度範囲(ホッパー下を除く)として、右に示します。難燃グレードでは、難燃剤が熱に対し不安定であるため、シリンダー温度は可能な限り低く設定することを考慮してください。
シリンダー温度
PET系 265〜285℃
PET/PBT系 260〜280℃
PBT系 240〜260℃
滞留時間
シリンダー内に長時間滞留させるとバイロペットは熱劣化し、機械的強度の低下、流動性の変化や変色を招きます。滞留時間が10分以上になった場合には、数ショット分パージを行い、シリンダー内の滞留分を除いた後、成形を再開してください。
金型温度
成形品の寸法やそり、外観、成形サイクルを検討して設定してください。PET系では、金型温度が85〜120℃、外観を重視する場合には、120℃以上(〜135℃)に設定することを推奨致します。 また、金型温度は40〜70℃でも成形は可能ですが、二次収縮が大きくなります。PBT系、PET/PBT系では標準で50〜70℃、外観を重視する場合には、80〜100℃を推奨します。
射出速度
バイロペットで良外観を得るには、射出速度は早い方が表面光沢の良い成形品を得ることができます。しかし、射出速度が速いと、成形品のそりやガス焼けを招く恐れがありますので、成形品の外観で判断して設定してください。
成形条件の選定
金型材質
金型については、耐磨耗性に優れた高合金鋼をお薦め致します。GF強化系にはSKD-11が最も一般的で、他にSKD-61やSUS420、SUS440系のステンレス鋼材も使用されます。いずれも焼き入れ焼き戻し処理後、HRCでR55以上好ましくは、R60程度で使用して下さい。難燃GF強化系には、耐腐食性の良いSUS310やSUS440系を使用すると金型の耐久性向上に効果があります。
金型温調
金型の温度調節には通常、カートリッジヒーター、温水または油温調を使用します。金型温度は、成形サイクルや成形品の外観や品質などに影響が大きいため、金型温度分布、流量やコア冷却などの配慮を行って下さい。金型温度の均一性を保つために金型とプラテンの間に断熱板を使用すると有効です。
ランナーとスプルー
一般に、断面が円あるいは台形断面のランナーとします。半円や矩形断面は避けて下さい。また、コールドスラグウエルは、ランナー及びスプルーの先端に必ず設けてください。
抜き勾配
金型の研磨精度や材料の成形収縮率に依存しますが、一般的に0.4〜1度の抜き勾配をつける必要があります。
ガスベント
成形品のガス焼け、成形品外観、ウェルド強度の低下などを考慮する必要から、金型には、必ず適切なガスベントを設けることが必要です。ガス抜きの深さは、少なくとも0.02〜0.05mm、幅は可能な限り広く設け、キャビティーから0.75mm程度離れた所で、ガス抜き深さを3mm程度にし、金型の外縁まで延ばしガス抜きを行ってください。
成形不良の原因と対策
不良現象 原因 対策
ひけ 成形条件 1.成形温度が高い
2.金型温度が高い/低い
3.射出の保圧が低い
4.射出の保圧時間が短い
5.冷却時間が不足している
6.クッションがない
1.シリンダー温度を下げる
2.金型温度を適切に設定する
3.保圧を上げる
4.保圧時間を長くする
5.冷却時間を長くする
6.クッション量を5〜10mmとる
設計 1.ランナー、ゲートが小さい
2.ゲート位置が不適切
1.ランナー、ゲートを大きくする
2.肉厚部にゲートを設ける
成形機 1.射出時に逆流している 1.逆流防止弁の点検・交換
2.保圧時間を長くする
3.冷却時間を長くする
4.キャビ・コアの温調を別個で
 制御する
そり
変形
成形条件 1.射出条件が不適切
2.保圧時間が短い
3.冷却時間が短い
4.キャビ・コアの
 温度格差が大きい

1.射出圧力・速度を上げる
2.保圧時間を長くする
3.冷却時間を長くする
4.キャビ・コアの温調を別個で
 制御する

金型 1.成形品の突出しが
 アンバランスである
2.ノックアウトピンの面積が
 小さい

1.突出しのバランスを取る

2.ノックアウトピンの面積を
 大きくする。
3.テーバーを取る

設計

1.ゲート位置の不適切
2.肉厚変動が大きい

3.製品サイズが大きく、
 ゲートが一点で行っている

1.ゲート位置を変更する
2.肉厚変動を均一になるよう
 形状を変更する
3.多点ゲートにする
ばり 成形条件 1.樹脂温度が高い
2.射出速度が速い
3.保圧が高い
4.型締め圧力が低い
5.樹脂の充填量が多い
1.シリンダー温度を下げる
2.射出速度を調整する
3.保圧を適正にする
4.型締め圧力を上げる
5.クッション量を5mm程度に
 なるよう設定する
金型 1.金型の合わせ面が
 平滑でない
1.金型の修正を行う
焼け 成形条件

1.樹脂温度が高い
2.エアの巻き込み

3.射出速度が速い
4.滞留時間が長い

1.シリンダー温度を下げる
2.スクリュー回転を下げる
 背圧を上げる
3.射出速度を下げる
4.成形サイクルを短くする
 成形機サイズを適正にする
金型 1.ガス抜きが不十分 1.ガス抜きを増やす
設計

1.ゲート位置が不適切

2.ゲートサイズが小さい

1.ウェルドがPL面にくるよう、
 ゲート位置を変更する
2.ゲートサイズを広げる
ウェルド 成形条件 1.樹脂温度が低い
2.射出圧力/速度が低い
3.金型温度が低い
1.シリンダー温度を上げる
2.射出圧力/速度を上げる
3.金型温度を上げる
金型 1.ガス抜きが不十分 1.ガス抜きを増やす
 ウェルドがPL面にくるよう
 ゲート位置を変更する
光沢 成形条件 1.樹脂温度が低い
2.金型温度が低い
3.射出速度が低い
4.保圧が不十分
5.樹脂の充填量が少ない
1.シリンダー温度を上げる
2.金型温度を上げる
3.射出速度を上げる
4.保圧・時間を上げる
5.クッション量が5〜10mmに
 なるよう設定する
金型 1.ガス抜きが不十分
2.金型が汚れている
1.ガス抜きを増やす
2.金型洗浄を行う