2009年4月21日~27日、日本化学繊維協会主催の「TOKYO FIBER '09 SENSEWARE展」が、イタリア・ミラノ郊外のトリアンテーナ美術館で開催され、日本の合繊企業を中心に9社が参加しました。従来のジャンルにとらわれることなく、日本の化合繊の創造性と可能性を新しい領域で表現することをコンセプトに、有名デザイナーやクリエーターが各社の素材を使い、その機能や特長を表現した作品を制作しました。
東洋紡素材では「ブレスエアー®」を用いた、佐藤可士和さんの「見える空気の遊具」と鈴木康広さんの「繊維の人」が展示されました。
「ブレスエアー®」を用いた「見える空気の遊具」は、軽くてクッション性のある「ブレスエアー®」をブロック状にカットし、積み木のように自由に重ねて遊ぶことができる<見える空気の遊具>。<「繊維の人」>は人型にすることで素材を身近な存在にし、成形性の高さを表現した作品です。コンピューター制御で胸や腹、腕、頭が動き、弾力性に優れています。
両作品は「静」と「動」ともいえる対称的な作品に仕上がっており、来場者からは「同じ素材でこんなに違うものができるとは」との驚きの声があり、注目を集めていました。
今回の展示会を機に「ブレスエアー®」の用途が広がり、世界中で活躍することを期待しています。
アートディレクター、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんは、普段から子どもが使うものに対して高い関心を持っていました。現在、子どもの遊具のほとんどはウレタンでできており、洗うことができず、清潔とはいえません。そこで「ブレスエアー®」の丸洗いできるという特長に着目し、制作を始めました。
ボールや体操マットなど多数の試作品を作りましたが、最終的に子どもが投げられるほど軽く、飛び跳ねても耐えられる耐久性と弾力性を持った「見える空気の遊具」が完成しました。見ているだけで楽しい想像が膨らむこの作品は、来場者の微笑を誘っていました。
アーティストの鈴木康広さんは、「ブレスエアー®」で人体をかたどり「呼吸する人体」というアイデアをもとに制作を開始しました。
人体形状への加工は困難だったので、今回加工に適した「ブレスエアー®」の選定には苦労を要しました。しかし試行錯誤の結果、ついに夢の「繊維の人」が完成。今にも歩き出しそうな作品に仕上がりました。コンピューター制御により体の表面が動くたび、会場にはどよめきの声が上がり、来場者は作品に釘付けになっていました。