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オリジナル調査レポート

「プラスチック包装材料に関する消費者の潜在ニーズ」調査【後編】
今、そして将来に向けてパッケージフィルムメーカーができる事を見つけるために


「プラスチックか、紙か?」包装材について、消費者の潜在ニーズを把握するために独自調査を実施(後編)

2021年夏、パッケージング事業総括部では、「プラスチックの包装材料に関する消費者の潜在ニーズ」の調査を実施しました。

先月に公開した「前編」では、「プラスチック包装材料」と「紙包材」の機能や、「プラスチック包装材料」の不満点について、アンケート結果からいくつかの方向性を述べました。
「後編」となる今回は、さらに具体的な設問で、消費者の皆さまの心理を深掘りしました。
※「前編」コラムはこちらから(https://www.toyobo.co.jp/seihin/film/package/column/006.html)

当調査について

今回の調査は、企業の商品やサービスなどに対する「不満」をデータとして収集する仕組みを提供している「不満買取センター」(提供元:株式会社Insight Tech)を利用しています。

「不満買取センター」には、年齢や性別、居住地などが異なる69万人以上の会員が登録しており(2021年12月時点)、さまざまな角度からの意見が集まる仕組みとなっています。

プラスチックの包装材料に関する消費者の潜在ニーズを調査するための質問をあらかじめ検討し、「不満買取センター」の会員である一般消費者500名に、回答をお願いしました。本記事では、その回答を集計した結果の一部をレポートします。
※以下掲載の資料は、株式会社Insight Tech運営「不満買取センター」会員へのアンケート調査を当社で集計した結果です。

不満買取センターでの調査結果

後編では、次の2つの調査結果をピックアップしてご紹介します。

質問 3)①「紙包装」と②「プラスチック包装」と比較して、どちらが環境に良いと思いますか?
質問 4)同じお菓子を選ぶとき、下記のうちどちらを買いたいと思いますか?

①プラスチック包装材料を開けると内容物がそのままが入っているが、価格が安いお菓子
②プラスチック包装材料を開けると更に個包装されているが、価格が高いお菓子

「紙包装」は環境に良いイメージが多いものの、機能面や実用性に対する不安が大きい

質問 3)ではズバリ、2つの包材について「環境」という側面から、そのイメージを聞いています。また一方で、紙包装についての不満点についても聞いてみました。

①87%、②13%の結果

昨今のニュース等でも、「脱プラスチック」というプラスチックからの脱却を唱えるコメント等が環境問題の話題で触れられることが多いためか、約9割弱の人が「紙包装」を選びました。


紙包装についての不満点

環境についてのイメージが良い「紙包装」ですが、一方で不満な点も明らかになってきました。
最も多い不満点は耐水性/耐油性など耐久面の弱さで、2番目の強度的な耐久性と合わせると、その合計は実に7割を超えています。また、品質保持やにおいうつりなど、「プラスチック包装」で軍配が上がった強みの機能が、「紙包装」では不満として続いています。

環境には良い一方で、包装材としては機能面や実用性にまだまだ課題があり、「紙包装」には改善が求められているということが、この結果から見えてきました。

お菓子の個包装から見えてきた、消費者の本音とその理由

さて、質問 4)は、「同じお菓子を選ぶとき、①、②のうちどちらを買いたいと思いますか?」という問いです。①、②の選択肢は次の通りです。
①「プラスチック包装材料を開けると内容物がそのままが入っているが、価格が安いお菓子」
②「プラスチック包装材料を開けると更に個包装されているが、価格が高いお菓子」
の2つから選択してもらい、その理由を確認しました。

①64%、②36%の結果
①を選ぶ理由、②を選ぶ理由

結果は、①を選んだ人が64%、②と回答した人が36%となりました。
①を選んだ理由としては何といっても「価格の安さ」という回答が多く、次に「(個包装だと)ゴミが出る」という回答が得られました。また②の理由としては、「(個包装されていないと)食べきれない」「持ち運ぶため」などが挙げられました。

商品の安さやゴミの減量を意識する人がいる一方で、社会的な変化により進む「個食化」や、コロナ禍の影響による衛生面への意識の高まりなどから、個包装の需要も一定数あることが見えてきました。

個包装だと「過剰包装」「ゴミが増える」という認識をもっている消費者の方も多くみられましたが、個包装されていないと「食べきれない」という意見が多数あるように、内容物がそのまま入っているタイプの商品は、逆にフードロスにつながってしまう可能性も否定できません。

こうした調査結果からも、消費者の包装材に対する環境意識が高まっていることが推察できるため、パッケージメーカーとしても継続した努力が必要だと捉えています。

「消費者目線を忘れない」製品開発を、これからもずっと続けていきます

消費者の「不満の声」をもとにした今回の調査結果を経て、パッケージ包装資材に対する潜在ニーズとして、「環境面への配慮」や「開けやすさ・切りやすさ(カット性)の改善」などを抽出することができました。
私たちはこれからも、さまざまな調査などの結果を活用し、消費者目線での製品開発を続けていきます。現在当社では、プラスチックごみや食品廃棄の削減を実現できる高耐熱高剛性OPP「P2171/P2271」や透明蒸着フィルム「エコシアール®」、カット性に優れた易カットポリエステルフィルム「ティアファイン®」や直線カットレトルトCPP「DC061」といった製品を取り扱っておりますので、個別の製品に関するお問い合わせや・各種サンプルをご要望の方は、下記連絡先までお気軽にご連絡ください。

東洋紡株式会社 パッケージング開発部 木下

今回、ご紹介した製品はこちら

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