研究開発体制

コーポレート研究と事業部研究の連携による全社イノベーション体制

当社は、ソリューションの創出と提供のため、研究開発をコーポレート研究部門と事業部研究部門に区分して運営し、研究開発の効率化と事業化のスピードアップを図っています。

コーポレート研究部門

将来を担う基礎技術や先端技術の獲得を目指したコア技術研究、事業化を加速するプロジェクト研究だけでなく、全ての研究開発を支える全社研究インフラ部門もあります。分析技術やシミュレーション(CAE)、デジタルトランスフォーメーション(DX)/マテリアルズ・インフォマティクス(MI)などの技術が次世代技術、新製品・新事業の創出を支援しています。また国内外の企業、大学、研究機関と積極的にコンタクトし、新技術や次世代技術の迅速な調査と評価を行う機能もあわせ持っています。

事業部研究部門

各事業部が生産・販売・開発を一体運営するなかで、それぞれに直結した研究開発を行い、市場への素早い製品展開を図っています。また、異なる事業分野間やコーポレート研究部門との連携を強化し、コア技術の融合/再構築により多様化する顧客ニーズに迅速に対応しています。

全社イノベーションのコーディネート(イノベーション戦略部)

全社的マネージメントの視点から研究開発に関する管理、企画、推進の機能を担い、研究開発と事業開発の一体運営化を推進しています。コーポレート研究部門から創出された有望テーマを研究開発プロジェクトとし、事業化への支援も積極的に行っています。

また、研究開発資源を効果的・効率的に活かし、国プロへの参画や大学・社外に加え関係会社などとのオープンイノベーションや、ベンチャーキャピタルを通じた積極的な投資も行っています。

全社イノベーションのコーディネート

全社イノベーションのコーディネート

コーポレート研究と事業研究の融合/再構築による未来創出の場[総合研究所]

新製品・新技術の実用化に向けたパイロットプラント棟(2023年1月竣工)
イノベーションの創出を加速していくため研究所のリニューアルを進めていきます

1931年、総合研究所(滋賀県大津市)は繊維の研究からその歩みを始めました。以降、90年以上にわたって時代のニーズに応えながらフィルム、バイオ、高機能製品などへと研究領域を拡大。現在は全社の研究開発基盤としての役割を果たすとともに、生産部門を有する複合事業所となっています。
総合研究所には約900人の従業員が在籍し、研究開発部門では基盤技術の強化や融合/再構築による新製品・新技術の開発に取り組み、社会の課題解決に貢献できるイノベーティブな技術・製品・ソリューションの創出を推進しています。特に、基礎研究を担うコーポレート研究部門では、立案時から研究テーマとSDGsの17の目標との関連を明確にするなど、2030年、さらにその先の将来を見据え、若い才能、キャリア人材や多国籍人材、女性が活躍しやすい制度・施設により、多様なアイデアを出しやすい環境づくりとそれによるイノベーションの加速を図っています。

総合研究所 地図・アクセス

コーポレート研究所分析センター   高度な分析技術により全社の研究開発をサポート

電子顕微鏡(TEM,SEM)、X線回折・放射光解析、核磁気共鳴分析(NMR)、各種分離分析(LC/MS,GC/MS)など幅広い分析技術を活用しています。これらの技術を駆使することにより、性能発現機構の解明、トラブル原因の解析、他社・市場動向調査など、研究開発に大きく貢献しています。

シミュレーションセンター 計算機シミュレーション技術の推進と高度な専門人材の育成組織

東洋紡のものづくり・技術は高度な知識集約型産業を基盤としており、計算機シミュレーション技術がそれを支えています。 東洋紡は合成繊維の開発当初からの紡糸シミュレーションに端を発し、医療、食糧、資源、エネルギー、環境などさまざまな分野での課題解決に計算機シミュレーションを展開してきています。 計算機シミュレーションでは複雑なシステムを高度なアルゴリズムや数理モデルによって計算機上で実現・活用するため、それぞれの分野の専門的な研究と技術開発が必要となっています。 シミュレーションセンターでは、今後も新素材・分野や事業を横断する広い視野と専門性を有する人材の育成と活用を強化していきます。

【展開例】
  • -材料シミュレーション:新素材開発を迅速かつ効率的に行うため、分子シミュレーション技術と独自の数理モデルを構築した素材設計に活用
  • -生産プロセスシミュレーション:品質向上やプロセスの最適化、環境負荷低減、設備投資などの意思決定を支援
  • -顧客課題の解決:材料シミュレーションと生産プロセスシミュレーションを組み合わせた材料・製品に関する最適解の提供
  • -東洋紡グループ全社の支援:計算機シミュレーションを含む数理解析を行うインフラ部門としてグループ事業を支援

デジタル戦略室   マテリアルズ・インフォマティクス(MI)に導く

総合研究所内にデジタル戦略室を設置し、当社グループに最適化されたMIを構築するため、主要製品や事業の研究開発プロセスの変革を目標に取り組んでいます。鍵となる全研究所の実験データの蓄積とデータの解析を継続的に蓄積していけるデータベースの構築を進めながら、全ての研究員が基本レベルのMIを実験ツールとして使いこなせる状況を目指し、解析に必要な技術の標準化と解析人材の育成を進めています。

<取り組み事例>

  • 次世代海水淡水化膜の性能向上
  • 導電接着剤や共重合ポリエステルにおける機能発現メカニズム解析・組成最適化設計