長期研究助成受贈者 代表感想文

2023年度 長期研究助成受贈者

大阪大学大学院 医学系研究科

栗林 宗平さん

この度、東洋紡バイオテクノロジー研究財団の長期研究助成を賜り、研究留学の機会をいただきました。まずはこの場を借りて、貴重な海外留学の機会を与えてくださったことへ心から感謝申し上げます。本年度の助成金受贈者は、大田 海斗さん(京都薬科大学大学院 薬学研究科)、初田 茜さん(京都大学大学院 生命科学研究科)、栗林宗平(大阪大学大学院 医学系研究科)の3名です。

助成金贈呈書授与式は令和6年2月2日に、坂元龍三理事長、近藤滋選考委員長(大阪大学大学院 生命機能研究科 教授)、黒板敏弘評議員、井上浩明事務局長のご列席のもと、東洋紡本社にて行われました。当日は晴天であり、東洋紡本社の大阪梅田ツインタワーズ・サウス32階から大阪城やあべのハルカスまで見渡せる眺望の素晴らしい会議室にて参加させていただきました。

授与式ではまず、井上事務局長に本助成の選考経過を説明していただきました。今年度は、24名から応募があり、選考委員会における厳正な審査、更に理事会の承認を経て、3名が採択されることとなったそうです。贈呈書の授与では、受贈者一人一人が坂元理事長から贈呈書と激励のお言葉をいただきました。続けて、坂元理事長よりご挨拶として東洋紡の成り立ちと東洋紡バイオ財団の設立経緯についてお話していただきました。

1882年、現在の東洋紡の基盤の一つとなる大阪紡績が、本年より1万円札の肖像画となる渋沢栄一により創立されました。東洋紡の企業理念は、「順理則裕」であり、「なすべきことをなし、社会をゆたかにする」を継続し、今日まで発展を遂げて来られております。東洋紡が取り組まれている事業についても説明いただき、紡績業から始まりフィルム事業やライフサイエンス事業へと発展・変革を遂げられてきました。今回我々が助成をいただきました東洋紡バイオテクノロジー研究財団は、1982年の東洋紡創立100周年創立され、それから40年、500人以上の若手研究者に研究助成を行っており、長期研究助成も本年度で223人に上るとのことでした。坂元理事長からお話しいただいた中で、私がとても印象的であった言葉は、「変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくる」という言葉でした。海外留学へと環境が変化する中で「恐れず、楽しみ、つくる」というフレーズをモットーに過ごしていければと考えております。

坂元理事長のお話の後、受贈者各々が自己紹介と留学先での研究テーマの説明を行いました。ヴュルツブルク大学に留学される大田さんは「パーキンソン病診断の新たな展望:α-シヌクレインPET/SPECTプローブの開発と臨床応用」、すでにイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に留学されている初田さんは「脳内ミトコンドリアDNA多型から紐解く行動多様性の原理」、クリーブランドクリニックに留学する栗林は「細菌叢に着目した男性不妊発症メカニズムの探索と新規治療法の開発」という研究テーマについて、お話しさせていただきました。受贈者の方々の研究テーマの説明は普段自分の関わっている分野とは違った分野の研究が多く非常に新鮮で、とても好奇心がわく内容でした。

続いて、近藤選考委員長より激励のお言葉をいただきました。近藤選考委員長は本庶先生の研究室に在籍された経験もあり、普段の仕事を行いながら、「周囲が意味がないと思っていても自分は気になることを見つけてライフワークにすること」の重要性について経験談を踏まえてお話いただきました。研究者として、99%無駄かもしれない中で1%の新発見を見つけることの大切さについてもお話しいただき大変感銘を受けました。

参加者全員で写真撮影を行ったあとは、中央区にあります綿業会館の見学をさせていただきました。綿業会館は、昭和3年に東洋紡績株式会社専務取締役の故岡常夫氏の巨額の遺贈金により、日本綿業倶楽部が設立されたのち、昭和6年12月に竣工された国の重要文化財に指定された歴史的な建物です。大阪大空襲で周囲の建造物が壊滅的な被害を受けたにもかかわらず、綿業会館は、各部屋に耐火ガラスを使用していたため、ほとんど被害を受けなかったとのことでした。リットン調査団が来館したお部屋やアンモナイト化石の入った天然石のある会議室なども案内いただきました。
その後は、会館内でコース料理を坂元理事長、近藤選考委員長、黒板評議員、井上事務局長とともに味わわせていただきました。普段訪れることができない素敵な場所で、とてもおいしい料理をやお酒を飲みながら過ごせた時間は、楽しくあっという間に過ぎてしまいました。その中でも、坂元理事長や近藤選考委員長から昨今の海外情勢や海外生活でのアドバイスなどありがたいお言葉をいただきました。
最後になりますが、貴財団の今後益々のご発展を祈念いたしますとともに、貴重な海外留学の機会を与えてくださったことへ心から感謝申し上げます。

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