トップメッセージ

2020年9月27日、当社犬山工場において火災が発生しました。この火災により従業員二人の尊い命が失われ、一人が負傷しました。亡くなられたお二人のご冥福をお祈り申し上げますとともに、二度とこのような事故を起こさぬよう、再発防止策を徹底し、安全文化の醸成に努めることを誓います。



人と地球に求められるソリューションを提供し、
持続可能な社会の実現に貢献していきます。

竹内郁夫

東洋紡株式会社
代表取締役社長 兼 社長執行役員

竹内郁夫

2021年4月から代表取締役社長に就任するにあたり、改めて、サステナビリティ経営を目指すことを宣言します。私たちの経営の目的は、企業理念で示しますように、『順理則裕』(なすべきことをなし、ゆたかにする)の実現にあります。ここで「なすべきこと」とは、人と地球に求められるソリューションの提供を通じて、持続可能な社会づくりに貢献することです。こうした貢献を通じて、当社グループも持続的な成長を図ってまいります。

しかしながら、東洋紡グループの現状に関して、強い危機感を抱いています。火災事故に続き、品質の不適切事案の判明など、製造業としての信頼を揺るがしかねない事態が出来したことを経営として深く反省し、2021年度は、信頼の回復を最優先課題として取り組んでまいります。

新型コロナ感染症拡大に対応

まず新型コロナウイルスで亡くなられた方のご冥福と、治療中の方の1日も早い回復をお祈りいたします。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済活動や人々の行動に大きな変化が生じていますが、当社は従業員の安全確保を最優先とし、感染防止対策を徹底した上で生産活動を続けています。PCR検査キット、マスク用不織布など医療分野への貢献とともに、食品包装用フィルムなど巣ごもり需要に対応すべく、製品の安定供給に努めています。

常に行動のよりどころとなる企業理念体系

当社は2019年に企業理念体系を整理しました。この理念体系は、創業者・渋沢栄一の座右の銘の一つであった『順理則裕』を基本としています。

理念(Principle)である『順理則裕』に加え、めざす姿(Vision)、大切にすること(Values)、そして行動指針である9つの約束(TOYOBO Spirit)を制定し、企業理念体系:PVVsとしました。

大切にすること(Values)については、私自身の考えから「変化を恐れず、変化を楽しむ」というフレーズを提案したところ、「変化を楽しむだけでは会社は発展しない。変化をつくろう」という意見が出され、これを企業理念体系の「大切にすること」 Valuesに反映した経緯があります。

企業理念体系は言葉だけ覚えても意味がありません。従業員一人一人が本当の意味で企業理念を理解し、日々の行動や判断の「よりどころ」となるようにしていきたいと考えています。

2030年のめざす姿は、社会と会社の持続的な成長

現在、2050年にどのような会社になっていたいか、ということを念頭に置き、そのためには2030年にどうあるべきかを考えています。2030年のめざす姿を一言で言えば「社会と会社の持続可能な成長(サステナビリティ)」を実現している、ということです。このめざす姿には3つの側面があります。

まず1つめは、事業を通じて社会課題の解決に貢献すること。当社グループのめざす姿「人と地球に求められるソリューション」を実現することです。

2つめは当社そのものが持続的に成長できること。そのために、しっかりとした土台の上に成長軌道を描いていかなければなりません。サステナビリティに積極的に貢献するために、内部監査、コンプライアンスなどのガバナンスの強化と、組織風土改革、より具体的には、いろいろな意見を自由に出し合える職場づくりを進めていきたいと考えています。

3つめは現場で働く人が主役であるということ。誇りとやりがいを持って働き続けられる会社でありたい。この3つの要素がそろっている会社がめざす姿であると考えています。

東洋紡グループは、2020年1月、グローバルに要請される事項を踏まえた取り組みを加速すべく、国連グローバル・コンパクト※1に署名するとともに、TCFD※2提言への賛同を表明しました。人権・労働・環境・腐敗防止という4分野10原則に基づいた企業活動を展開することはもちろんのこと、世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)に関しても、当社が持つ“尖った技術”を生かして貢献していきます。

  • ※1 国連グローバル・コンパクト
  • ※2 気候関連財務情報開示タスクフォース

マテリアリティの持つ意義を深く考え、必要に応じて見直す

「人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループ」を実現するために、サステナビリティの観点から、8項目のマテリアリティを2020年度に特定しました。マテリアリティの進捗については、温室効果ガスの削減など、定量的に計測できるマテリアリティは着々と成果が出ていますが、まだ具体的なKPIを設定できていないマテリアリティもあります。逆にKPIだけ見ていると全体像を見失いかねません。それぞれのマテリアリティが持つ意義をしっかりと考え、理解して、さらに深化させる必要があると認識しています。

製品のライフサイクル全体を見据えて貢献する

当社グループは、企業理念体系において「素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループ」になることを掲げています。日々の企業活動の中では、ともすれば目の前のお客さまのことだけを考えがちですが、それだけではなく、バリューチェーン、あるいはサプライチェーン全体を俯瞰し、当社の製品をお客さまに使っていただいた後のことまで、製品のライフサイクル全体を見据えて課題を解決する。あるいは、どう貢献できるかを考えたい。バリューチェーンに関わるすべての方々、そしてその最後にいるお客さまの立場で私たちが考え抜くことが、<サステナビリティ>につながります。

フィルム事業でプラスチック問題に取り組む

当社グループでは、フィルム・繊維・エンジニアリングプラスチックなど高分子材料が営業利益の80%以上を占めており、環境負荷低減にはとりわけ真摯に取り組んでいます。CO2 排出量削減はもとより循環型経済(サーキュラエコノミー)の定着や生態系への影響低減の観点から、プラスチック関連の諸問題に早急に対処するべく、バイオマス原料の使用、リサイクル、石油由来原料の使用量を減らすなどの取り組みを加速させます。

例えば、食品包装用フィルムは、賞味期限を伸ばすことによってフードロスの削減に貢献できますので、さらに薄いフィルムを開発し、減容化を図ったり、バイオマスやリサイクル素材の利用を進めたり、サーキュラエコノミーの実現に向け、取り組みを強化・拡大します。

「変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくり」社会に貢献

当社グループに関わるステークホルダーの順位づけは非常に難しいながら、私は従業員ファーストだと考えています。まず従業員がいて、その先にお客さま、地域社会、そして株主がいらっしゃる。従業員が正しく行動して初めてお客さまの声に応えられ、地域社会に溶け込んでこそよりよい関係を築けるのだと思います。社会から信頼される企業であり続けるためにも、従業員がいる現場が主役です。「変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくる」を実現するためにも、従業員一人一人が成長し、生き生きと活躍することこそが、会社の発展につながり、ひいては社会のお役に立つことがより可能になります。そしてよりよい未来のために、当社が持つ知恵や“尖った技術”を生かし、多くの社会課題を解決することを通じて、社会のサステナビリティに貢献していきます。