サプライチェーンマネジメント
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マネジメントアプローチ
考え方・方針
昨今、急速にグローバル化が進み、解決すべき社会課題が拡大する中、「持続可能な社会の構築・発展への貢献」が企業の社会的責任であるとして、CSR活動への取り組みやリスク管理がより一層強く求められています。このような環境下、当社グループが製品・資材・原材料などを調達するに当たって、従来の品質・性能・価格・納入条件等のみならず、自然環境や労働環境・人権といったCSR要素をこれまで以上に重視した調達活動を推進することが必須となっています。
当社グループは、サプライチェーン全体で持続可能な社会の発展を支えSDGsの達成に貢献するため、適正な取引方針を確立し、責任ある調達・物流を行っています。
「東洋紡グループ企業行動憲章」の「2. 正しい事業慣行」に基づき、正しい競争や取引、責任ある調達・物流を行い、お客さまやお取引先さまをはじめ社会と健全な関係を保ちます。
また、法令順守、公正な取引、環境配慮、人権尊重(児童労働・強制労働の禁止や、LGBTQ+を含むあらゆる属性の人々への差別の禁止を含む)などに対応する「CSR調達ガイドライン」および環境配慮のための「グリーン調達ガイドライン」を制定しています。2022年9月には近年のグローバルな諸課題を踏まえ、「CSR調達ガイドライン」を改定しました。
取引基本方針
- コンプライアンス遵守
事業活動を行う国・地域の法令を遵守するとともに、企業倫理・社会規範を尊重し、良識ある行動を実践します。
- 公正・公平、透明性の確保
すべての企業に対し、広く門戸を開放し、公正・公平な判断を行い、透明性の高い取り引きに努めます。
- パートナーシップ
お取引先さまとの積極的な対話により相互理解を深化し、共に成長できる持続可能なパートナーシップ構築に努めます。
- CSR調達の推進
人権の尊重や環境保全、製品安全、品質保証、労働安全衛生など企業の社会的責任に配慮した取り引きを推進します。
- (1) CSRを推進し、社会貢献に積極的に取り組むこと
- (2) コンプライアンス(法令順守など)、公正取引・企業倫理を維持・強化すること
- (3) 環境活動を維持・強化すること
- (4) 製品の供給においては、品質、製品安全を保証すること
- (5) 人権を尊重すること
- (6) ステークホルダーに適時適切に情報を開示・対話するとともに、情報セキュリティ対策を維持・強化すること
体制
調達体制は、下記よりご覧ください。
CSR調達
当社グループは法令順守、品質・製品安全の保証、人権の尊重などの社会的責任を果たすとともに、地域貢献、環境保全などを通じてサプライチェーン全体の価値向上を目指すため、「CSR調達ガイドライン」および「グリーン調達ガイドライン」を定めています。これらのガイドラインはウェブサイトで公開するとともに、お取引先さまにCSR調達アンケートを実施し、積極的な取り組みを進めていただくように、ご理解とご協力をお願いしています。
目標とKPI
<目標>
・サプライチェーンを通じて、社会・環境面への配慮、公正・誠実な取引、人権を尊重した調達・物流を実現します。
・モーダルシフトや積載効率向上などグリーン物流を推進し、CO2排出量を削減します。
<KPIと実績>
取り組み項目 | KPI | 目標 | 実績(2023年度) |
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- CO2排出原単位 [g-CO2/t・km]とは、1tの貨物を 1km輸送して発生する CO2量のグラム[g]数
取り組み
取引の公正性、透明性
当社グループは健全な取引の基本として、公正さと透明性の確保を徹底しています。お取引先さまから不当な利益や優遇措置を目的とする贈答・接待はお受けしないとともに、事前申請制度を設け、社会的常識を越えない範囲であっても疑義を招くような行為が起こらないようチェック体制を強化しています。
東洋紡グループ CSR調達説明会
2023年10月、全世界の主要なお取引先さま(約500社)に、東洋紡グループCSR調達説明会の動画を配布しました。
説明会では、東洋紡グループのサステナビリティ取り組み(カーボンニュートラルや人権尊重、 CSR調達方針など)について説明し、「東洋紡グループCSR調達ガイドライン」の順守を要請しました。併せて、お取引先さまと協業してサプライチェーン全体で持続可能な社会の発展に貢献したい旨を表明しました。
CSR調達アンケート
CSR調達アンケート・リスク評価の実施
当社グループは、全世界の主要なお取引先さまに対して「CSR調達ガイドライン」を周知し、環境や安全、人権、労働、コンプライアンス(汚職、贈収賄、不正行為、マネーロンダリングなどの腐敗防止を含む)などの社会課題や情報セキュリティに関してリスク評価を行っています。このリスク評価のため、全世界の主要なお取引先さまに対して「CSR調達ガイドライン」に基づいたアンケートを実施しています。アンケートの自己評価結果を踏まえた改善活動を通して、社会・環境に与える影響への配慮やリスク軽減につなげ、サプライヤー・バイヤー双方で「社会の持続可能性を高めるCSR調達の促進」を図ります。
アンケート調査とそれを踏まえたお取引先さまとの対話を1年ごとに実施し、2年で1サイクルのサプライヤーエンゲージメントを行っています。アンケート調査は、直近2023年度に実施しました。2024年度は調査結果に基づき、改善へ向けた取り組みを個別に依頼します。
新規・既存サプライヤーとのエンゲージメント
既存のお取引先さまには定期的にアンケートのご協力をお願いし、リスク評価を実施しています。また、新規のお取引先さまには、取引開始時に「CSR調達ガイドライン」を理解した旨の確認を行っています。
2023年度CSR調達アンケートの結果
アンケートを通じてお取引先さまの社会課題に関するリスク評価を行っています。リスク評価に応じた対応をお取引先さまと協力して行い、サプライチェーン全体でのCSR活動のレベル向上に努めています。新規のお取引先さまには取引開始の際に、既存のお取引先さまには定期的にアンケートのご協力をお願いしています。アンケートによって課題が発見された場合は是正措置を講じていきます。
1. 調査の概要
● 集計範囲、対象サプライヤー数:取引金額の90%にあたるサプライヤー476社
● 対象サプライヤーの構成
原材料関係 | 設備機械関係 | 物流関係 | 製造外注関係など |
---|---|---|---|
69% | 23% | 4% | 4% |
● アンケートの内容
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの「CSR調達セルフ・アセスメント質問表」を採用
● 項目
コーポレートガバナンス、人権、労働、環境、公正な企業活動、品質・安全性、情報セキュリティ、サプライチェーン、地域社会
2. 集計結果
回収率は94%となりました。
リスク判定 | 点数区分 | 社数 | 比率 | 内容と対応 |
---|---|---|---|---|
A | 90点以上 | 195 | 44% | CSRへの取り組みは非常に良好→アンケート結果のフィードバック |
B | 61~89点 | 176 | 39% | CSRへの取り組みは良好→アンケート結果のフィードバック |
C | 60点以下で重大リスク項目(人権)の該当は無し | 66 | 15% | CSRへの取り組みは進められており重大リスクは低い→アンケート結果のフィードバック |
D | 60点以下で重大リスク項目(人権)の点数が低い | 11 | 2% | リスクのある項目(特に人権)について、改善へ向けた取り組みを個別に依頼 |
- | 計 | 448 | - | - |
CSR調達アンケート評価結果
評価点数
3. 評価結果
アンケートの平均得点は79%でした。アンケートをご回答いただいた後に、結果のフィードバックとして「評価点」及び「レーダーチャート」を提示し、強み・弱みをご確認いただいております。「弱み」については、継続的な取り組みに努めていただくよう依頼しています。
アンケートを分析・評価し、リスクが高い(ランクD)と判定された11社については、ヒアリングなどを通じて、改善に向けた取り組みを依頼する予定です。
グリーン調達
当社グループは持続可能な社会の構築に貢献するため、環境保全に積極的なお取引先さまとともに環境負荷の少ない原材料を優先的に調達し、グリーン調達を推進することを目的に「グリーン調達ガイドライン」を定めています。お取引先さまには当社のグリーン調達の考え方を理解いただくとともに、下記化学物質含有情報のご提供をお願いしています。
(1)当社の定める禁止物質が含まれていないこと
(2)当社の定める有害化学物質の含有量が把握されていること
2021年度には、経済産業省が主導する製品含有化学物質の情報伝達共通スキーム「chemSHERPA®」や法規制などの改正に基づき「化学物質含有情報シート」を改定し、お取引先さまに調査を実施しています。また、一般購入物品については、「環境ラベル」を活用したグリーン購入を推進しています。
- 「chemSHERPA®」は、一般社団法人産業環境管理協会の登録商標です
持続可能な調達に向けた教育活動
調達・物流担当者全員に対し、CSR調達ガイドラインの周知徹底を、年1回実施しています。
「持続可能な調達(安定調達)への貢献」に関する目標を調達・物流担当者の人事考課に組み込み、その進捗を管理するなどの指導・育成も行っています。その他、持続可能な調達活動などに関する改善提案を募集し、優秀な提案に対して表彰を実施しています。
紛争鉱物への対応
当社グループは「CSR調達ガイドライン」において、「紛争鉱物規制に対し、責任ある調達を推進すること」をうたっています。
「特定の化学物質含有情報シート」を用いて、原材料に紛争鉱物(スズ・タンタル・タングステン・金)が使用されていないか調査をしています。
直近では、2022年度に原材料の紛争鉱物含有について調査を実施しました。また、お客さまからの紛争鉱物に関する調査依頼に対し、迅速かつ適切に回答できるよう社内の調査・回答体制を整備しています。
物流における社会課題の解決
当社グループは物流における社会課題の解決のため、環境負荷低減や持続可能な物流の実現に向けた取り組みを進めています。
環境負荷低減に際しては、事業所の最寄り港の活用による輸送距離の短縮、船舶や鉄道へのモーダルシフト、物流システムを活用した配車シミュレーションによる積載効率の向上を進めています。
2019年には国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、自主行動宣言を提出しました。
また、2023年から国土交通省・経済産業省の提唱する「フィジカルインターネット実現会議」の分科会である「化学品ワーキンググループ」に参画し、このワーキンググループを通じて物流関連二法改正に対応する自主行動計画を策定しました。
主な内容は、荷待ち・荷役時間の削減(2時間以内/回)やパレット化推進等であり、ドライバーの負担軽減や物流効率化に取り組んでいきます。
物流関連法改正への当社の対応例
物流関連法改正 | 化学品WG自主行動計画の一例 | 当社の主なアクション |
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物流効率化の中長期計画(自主行動計画) を所管官庁へ提出・実施状況の報告 |
荷待ち・荷役時間の把握 | ・出荷、入荷にかかる荷待ち時間及び荷役作業等にかかる時間を把握します。 |
2時間以内の荷待ち・荷役時間 | ・荷待ち、荷役作業等に係る時間を1回あたり2時間以内とします。 | |
パレット化の推進等 | ・現状把握の実施後、製品荷役におけるパレット化を推進し、ドライバーの荷役時間を削減します。 | |
リードタイム確保 | ・発注から納品までのリードタイムを十分に確保し、物流負荷の軽減に努めます。 | |
物流改善提案と協力 | ・取引先や物流事業者から、改善の提案と協力があった場合は、真摯に協議に応じます。 | |
「物流統括管理者(CLO)」の任命の義務化 | 物流統括管理者の選定 | ・適正者の選定と任命 |
自然災害などへの対応
近年、地震や台風、ゲリラ豪雨などにより甚大な被害が発生しています。それらへの対応を通じて知見を蓄積し、より安定した調達・物流の実現を目指します。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の一環として、サプライチェーン全体のリスクの把握・管理に努めています。調達では複数地域からの供給、物流では物流業者と連携して代替輸送手段や代替輸送ルートの設定を進めています。
イニシアチブへの参加
2020年1月に「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入しました。2021年度より「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」のサプライチェーン分科会への参加を通じて、情報収集を行い日々の活動に生かしています。
パートナーシップ構築宣言を公表
2020年10月、当社は、内閣府や中小企業庁などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、「パートナーシップ構築宣言」を公表しました。
本宣言にて、サプライチェーン全体での社会・環境面に配慮しながら社会課題の解決に貢献していくことを表明しています。当社グループは、この宣言を踏まえ、サプライチェーン全体での付加価値向上に努めていきます。
公益通報者保護制度への対応
当社グループでは、お取引先さまの相談・通報窓口をホームページ上に設置しています。同窓口にて、法令違反、企業倫理違反、またはそれらの疑義行為についてのお問い合わせを受け付けています。ブライバシーポリシーを順守し、相談・通報により相談者に不利益が生じない体制を構築しています。
対象となる項目
- 1.法令や企業倫理などについての違反・疑義行為
- 2.人権尊重に反する行為
- 3.「東洋紡グループ CSR調達ガイドライン」に反する行為 など