サステナビリティ・マネジメント
考え方・方針
考え方
当社グループは、1882年の創業時から、日本初の民営会社による大規模紡績工場として、衣料用繊維の普及を通じ、社会のよき一員としてさまざまな課題に取り組んできました。また時代とともに事業を拡大・成長させ、人々のよりよい生活の実現を目指し、環境を中心とした社会課題の解決にも貢献してきました。
そして2019年、企業理念『順理則裕』を再定義し、それをベースに議論を重ね、理念体系「TOYOBO PVVs」を再整備しました。議論の過程を通じ、当社グループのこれまでの営みは「人と地球のサステナビリティ」の確保に貢献することに、その本質があると確信しました。2022年5月、「サステナブル・ビジョン2030」を公表しました。
持続可能な社会の実現に貢献することは、「私たちは、素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」という当社グループのVision(めざす姿)の実現に他なりません。これこそが当社グループのサステナビリティに対する考え方を示すものです。
同時に、重要なことは、「持続的な企業価値の向上」です。持続可能な社会の実現に資する当社グループの貢献が、収益となって当社グループの企業価値向上につながり、この企業価値の向上が、当社グループの事業成長を通じて、次の「持続可能な社会の実現」につながります。この正のスパイラルを続けることが、当社グループが考える「サステナビリティ」です。
ステークホルダーのご期待に応えるために、情報発信を一層強化するとともに、全社一丸となってこの活動を推進するために、全従業員のサステナビリティの「自分ごと化」にも積極的に取り組みます。
方針
- 社会の持続可能性に配慮した経営、ひいては当社の持続可能性を向上させる経営
- 強固な経営基盤を構築するサステナビリティ:経営基盤軸(ESG)
- 競争力を強化し、成長をけん引するサステナビリティ:事業軸(CSV)
概念整理 サステナビリティ/CSV/ESG
サステナビリティ・マネジメント体制
当社グループは、サステナビリティ委員会(委員長:社長)を設置しています。2023年度は、年6回開催し、全社のサステナビリティ活動の進捗を確認するとともに、①GXリーグへの参画、②価値創造ストーリーの共有、③リスクマネジメントのグループ展開、④当社グループおよびサプライチェーンの人権尊重の取り組みなどをテーマに議論しました。また、同委員会の傘下にリスクマネジメント委員会、気候変動・生物多様性委員会、コンプライアンス委員会を設置しており、全社横断的な議論を行っています。
サステナビリティ推進体制
2024年4月1日現在
サステナビリティ活動への取り組み
当社グループは創業以来、創業者の渋沢栄一が座右の銘の一つとした『順理則裕』の理念に基づき、社会をゆたかにすることで自らの事業をも成長させる考え方、すなわち、現代のCSVを先取りして実践してきました。
2020年度から本格的にサステナビリティ経営を志向し活動を推進しています。特にカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、人権、人的資本、生物多様性などの取り組みに注力し、戦略を策定した上でマイルストーンを設定しています。
年月 | 取り組み内容 |
---|---|
2020年1月 | 国連グローバル・コンパクトに署名するとともに、「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入 TCFD(気候関連財務情報開⽰タスクフォース)提言への賛同を表明 |
2020年4月 | サステナビリティ推進部を設置。 ESG要素を経営や戦略に取り込み、ステークホルダーへの情報発信を強化 社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置(CSR委員会を改称) |
2021年4月 | サステナビリティ推進部を社長直轄とする 社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置 カーボンニュートラル実現に向けた推進体制を構築。「カーボンニュートラル戦略検討会議」および「カーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチーム」を設置 |
2022年4月 | サステナビリティ推進本部を設置 |
2022年5月 | 「サステナブル・ビジョン2030」公表 「2050年までのGHG排出量削減計画」策定 |
2022年11月 | 「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画 |
2022年12月 | 「SBT認定」取得 |
2023年4月 | サステナビリティ委員会体制を刷新 |
2023年6月 | 経営産業省の「GXリーグ」に参画 宮崎県東諸県郡綾町と包括連携協定を締結 「プラチナくるみん認定」取得 |
2023年7月 | 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する5つのESG投資指数の構成銘柄に選定 「2023アジア太平洋地域気候変動リーダー企業」に初選定 |
2023年9月 | 「資源循環プロジェクト」が「第6回エコプロアワード」優秀賞を受賞 NEDO「バイオものづくり革命推進事業」実施予定先に採択 三井住友信託銀行(株)と初のポジティブ・インパクト・ファイナンス契約を締結 |
2023年10月 | 岩国事業所の自家火力発電所にて燃料転換 社有林「東洋紡 綾の森」が環境省「自然共生サイト」に認定 |
2023年12月 | 2度目のサステナビリティ・リンク・ボンドを発行 |
2024年1月 | 産官学協議体「サーキュラーパートナーズ」に参画 |
イニシアチブへの参画
国連グローバル・コンパクト(UNGC)
2020年1月に、UNGCに署名するとともに、UNGCに署名している日本企業などで構成される「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入しました。これは、責任ある企業市民としてグローバルな課題を解決し持続可能な成長を実現するという趣旨に賛同したためです。また、「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」の各分科会へ参加しています。2024年度より人権に関する分科会において「ビジネスと人権アクセラレーター(日本版)」にも参加し、国際的な人権課題など企業が留意すべき事項について情報収集し、人権課題への理解を深めています。
これからも、UNGCの10原則にのっとった取り組みを強化し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
UNGCの10原則
人権 | 原則1: 人権擁護の支持と尊重 |
---|---|
原則2: 人権侵害への非加担 |
|
労働 | 原則3: 結社の自由と団体交渉権の承認 |
原則4: 強制労働の排除 |
|
原則5: 児童労働の実効的な廃止 |
|
原則6: 雇用と職業の差別撤廃 |
|
環境 | 原則7: 環境問題の予防的アプローチ |
原則8: 環境に対する責任のイニシアティブ |
|
原則9: 環境にやさしい技術の開発と普及 |
|
腐敗防止 | 原則10: 強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止の取り組み |
気候関連財務情報開⽰タスクフォース(TCFD)
当社グループでは、気候変動が当社グループやステークホルダーにもたらす影響の大きさを認識するとともに、「脱炭素社会&循環型社会」をマテリアリティの一つとして特定しています。2020年1月には、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言に賛同し、同提言にのっとった取り組みと情報開示を進めています。
「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」を踏まえ、気候変動に特化した当社グループのリスク・機会の抽出を行いました。抽出されたリスク・機会の項目を集約し、社会の変化という観点でまとめ直した上で、それぞれの対策案を検討しています。
シナリオ分析の中で、リスクと機会の影響と財務インパクトを特定した上で、特に重要であると認識したリスクと機会については、指標・目標を設定し、経営戦略の強靭性(レジリエンス)向上を図ります。詳細は、統合報告書をご覧ください。
WWFジャパン
東洋紡株式会社は、2022年6月より、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の法人会員として、WWFの環境保全活動を応援しています。
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年にスイスで設立されました。人と自然が調和して生きられる未来を目指して、サステナブルな社会の実現を推し進めています。特に、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けた活動を行っています。
当社が参画しているイニシアチブの詳細は、下記をご覧ください。