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マネジメントアプローチ

考え方・方針

当社グループでは法令等の順守はもとより、製品・サービスの安全性や環境への配慮、高い品質によるお客さまの満足と信頼を獲得するため、「東洋紡グループ製品安全・品質保証基本方針」を定めています。提供する製品・サービスの品質と安全性を確保するために、適切な管理体制を構築して適正な手順で品質検査を行うとともに、データなどを適切に取り扱うよう努めています。

<東洋紡グループ製品安全・品質保証基本方針>

  1. 製品安全・品質保証理念

    私たちは、社会・お客さま・消費者の満足と信頼を獲得する、製品・サービスを提供します。

    • 常にお客さまの視点で、一人ひとりが品質優先の高い意識を持ちます。
    • 変化するニーズ・期待に応え、社会に有用で安全性と環境や情報の保護に十分配慮した、製品・サービスを提供します。
  2. 製品安全・品質保証活動方針
    (1)
    法令の順守
    私たちは、製品・サービスの安全に関する関連法規、関連規格・基準を順守します。
    (2)
    製品安全の確保
    私たちは、製品・サービスの本来の用途はもちろん、合理的に予見できる誤使用に対しても安全を図ります。
    必要に応じてより高い自主安全基準を設定し安全性の向上に努めます。
    (3)
    製品安全推進体制の構築
    私たちは、製品の開発・設計・製造・販売・使用から廃棄に至る全ライフサイクル及び
    サプライチェーンを通した製品安全・品質保証を進めます。
    (4)
    情報の保護・提供
    私たちは、東洋紡グループのプライバシーポリシー(個人情報保護方針)に則り、
    製品安全・品質保証の活動により得られた守秘すべき情報の保護に努めます。
    また、ステークホルダーへの伝達すべき情報の提供を積極的に行います。
    (5)
    教育・啓発
    私たちは、役員及び全従業員への教育・啓発により製品安全・品質保証の意識の向上に努めます。

体制

当社グループでは、PL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する品質保証本部会を設けています。品質保証本部会は品質を統括する役員、各事業本部を担当する品質保証総括部長と品質保証統括部員で構成され毎月開催しています。また、各事業本部の部長クラスを推進委員としたPL/QA推進委員会の開催を年6回計画しており、2023年度は6回開催しました。

不適切事案の再発防止策の一つとして、「品質保証本部」を設置し、同本部の傘下に、品質保証統括部と、事業本部を担当する品質保証総括部・品質保証部を配置しています。これまで各事業部門にあった品質保証部門を独立させることで、事業部門に対するけん制機能を強化しました。また、品質保証統括部には、当社グループの製品安全や品質保証に関する、当社およびグループ会社の開発・生産・販売に対する指導・停止権限を持たせ、適切な品質管理体制の構築やガバナンスの向上に取り組んでいます。

品質保証体制(2024年4月現在)

カーボンニュートラル体制図

目標とKPI

<目標>

  • サプライチェーン全体を通じて、上流を含めた品質管理と、品質における信頼確保により、顧客満足度を向上させます。

<KPIと実績>

取り組み項目 KPI 目標 実績(2023年度)
  • 安定供給、顧客課題解決貢献、顧客ニーズ充足
  • 製品の安全と品質の確保
1.
製品事故件数
0件/年 0件
2.
製品安全・品質保証教育の実施状況
100% 100%
  • 製品事故:経済産業省が規定する定義に準じ、社内基準を設置

取り組み

品質保証の取り組み

従業員が当社グループの開発・生産・販売活動を実行する際の基本的な考え方・行動指針を記した「品質保証マニュアル」を共有し、当社グループにおける「モノづくり」の基本的な思想としています。

「品質保証マニュアル」は多言語化し各拠点にグローバル展開しています。また、ダイジェスト版を用いた勉強会を開催し当社グループの「モノづくり」に対する理解を深める活動をしています。
加えて、「品質保証ガイドライン」を制定し、品質を担保できる体制の構築を目指して活動しています。
2022年度より品質保証体制・品質ガバナンス強化を目的とした、各事業本部の品質保証の取り組みに対する品質保証本部長レビューを実施しました。品質保証本部長レビューを実施したことで品質課題を明確にし、また中間レビューも実施することで改善の進捗確認を行っています。

製品・サービスごとにQA体系を整備し、その各段階で常に品質および製品の安全性を担保できるようにしています。さらに、「品質保証ガイドライン」は事業責任者や社内外の関係者、専門家によるチェックを幾度となく繰り返し行っており、市場での事故・混乱などが起きないよう万全を尽くしています。

2023年度も11月を「品質月間」として継続し、重点活動として期間中に品質保証に関する社長メッセージ、それを受けて各事業本部長メッセージ、品質月間ポスターを全拠点のデジタルサイネージに掲示しました。また、PL/QAセミナーの開催やコンプライアンスマニュアルに記載の品質不正について各職場で振り返りを実施しました。

QA活動の概要

QA活動の概要図

製品安全推進活動

事業部門から独立した品質保証本部および当該部門以外の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を確認、改善しています。さらに、PLとPSのリスク度合いを判定する基準を設けています。この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクの低減に努めています。

なお、製品安全の確保には万全を期して取り組んでいますが、各事業本部において、PL事故が発生した場合を想定した訓練を定期的に実施しています。今後も製品安全をグループ全体の重要なテーマと捉え、可能な限りリスク低減を図り、社会的責任を果たすよう努めていきます。

製品安全(PL)対応の仕組み

PL対応の仕組み図

製品安全・品質保証教育

新入社員、新任管理職だけでなく階層ごとに、製品安全・品質保証に関する教育を実施しています。

セミナー名 開催数 対象・目的 備考
品質保証基礎セミナー 年4回 新入社員対象の教育や部門ごとの教育 e-ラーニング形式でパッケージ化
Qaceセミナー 上期・下期各4回 品質管理、品質保証の中核人材育成と社内品質人材ネットワークの構築 2022年度開始
品質不正に関するケーススタディーに対する研修 年10回 品質不正に関する研修 2022年度開始
品質不正事例教育 43回 品質不正事例紹介による品質不正撲滅の意識教育 2023年度実施
  • Qaceとは、Qa_assurance Qc_control Qe_ensuranceの頭文字をとったもの

セミナー名 開催月 対象・目的 2023年度のテーマ
PL/QAセミナー 11月 全員参加の品質保証の一環として 人と組織の活性化
品質経営セミナー 1月 経営層が品質経営について考える機会として データサイエンスによる問題解決、その標準シナリオ

ISO9001取得状況

品質不適切事案への対応

当社グループは、2020年に発覚した「プラナック®」等の品質不適切事案を受け、「お客さま視点で安全・安心を約束するモノづくり」の確立を目指し、全社的な調査および品質に関するリスクマネジメント体制の強化を推進しています。

エンジニアリングプラスチック部門の状況

「プラナック®」等の品質不適切事案に関しては、お客さまに対し個別に対応を進め、おおむね当社製品ではUL認証を再取得しました。また、アンケート他にて全製品の調査を進め、エンジニアリングプラスチック部門で確認されたお客さまとの合意違反等の不適切な事項に関しては重大な問題と認識し、関係するすべてのお客さまに対し個別にご報告し対応しました。

当社の調査のみならずお客さまのご協力を得て確認いただいた結果、製品の安全性や基本機能における重大な欠陥は確認されませんでしたが、適切な品質管理体制の構築やガバナンスの向上に取り組むことにより、信頼の回復に全力で努めます。
また、本不適切事案により認証が取り消されておりましたISO9001の認証につきましても、2024年5月にロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッドより認証を取得しました。

大津医薬工場における FDA Warning Letter の解除

2021年8月19日付で、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration、以下「FDA」)より、大津医薬工場(滋賀県大津市)における医薬製品製造工程の品質管理手順等に関する Warning Letterを受領し、以降、FDA と緊密に連携しながら是正を進めてまいりました。
2023 年 2 月に FDA により実施された査察の結果、FDA より、2023年7月5日付で、当該Warning Letter の解除に関する文書(Close-out Letter)を受領しました。
今後も FDA との緊密な連携を維持しながら、生産・品質管理体制の改善・強化に全力で取り組むとともに、全世界の患者様が必要とされる高品質の医薬品の提供に貢献する製造受託メーカーを目指してまいります。

品質に関するリスクマネジメント体制の強化

品質不適切事案を受け、2021年度初めに「3ライン体制」を構築しました。第1ライン(事業部門/生産拠点)、第2ライン(品質保証本部)、第3ライン(内部監査部)の3部門からなる、多重的に不正を発見・予防する仕組みです。

第2ラインの品質保証本部では、品質に関する重大リスクとして「不適切検査」等を特定し、各事業部門でのリスクアセスメントを主導・支援しました。リスク低減のための対応策を策定し、実施に向けた支援を開始しています。

第3ラインの内部監査部は、第1・第2ラインに対する品質監査を実行するため、リスクマネジメント監査チームを新設しました。品質保証本部・各事業部門の運用状況や現状の課題を収集し、監査の連携方法などを検討しました。

2021年度下期には、内部監査部による第1ライン監査を品質保証本部と連携して開始しました。また、品質保証本部を対象とした監査を実施し、各事業本部を担当する品質保証部のあるべき姿に向けて率直な意見交換を行いました。

さらに、品質に関するDI(データインテグリティ)の一環として、各事業本部を担当する品質保証部を主体とした検査成績書発行プロセスの自動化を導入し、ヒューマンエラーの抑制などに取り組みました。

品質保証の3ライン体制の考え方

品質保証再構築ロードマップ