環境配慮製品

基本的な考え方

当社グループは、「東洋紡グループ地球環境基本方針」の下、環境負荷の低減や改善につながる技術の開発をすすめています。製品の開発から設計・製造・販売・廃棄・回収に至る全ての段階において、環境に及ぼす影響を予測し、評価し、低減し、環境保全に取り組んでいます。

体制

環境配慮製品認定の仕組み

当社グループは、1998年より環境保全の観点から製品の環境への負荷度を評価するシステムとして「エコレビュー制度」を運用しています。

この制度では、当社の製品や技術について、ライフサイクルアセスメントの観点で、原材料から廃棄に至るまでの全てのステージにおいて「温暖化防止」「化学物質削減」「省資源」「廃棄物削減」「環境貢献」「生物多様性・その他」を当社独自の基準で評価・分析を行います。また、一定基準以上の評価を得たものを当社の「エコパートナーシステム®」製品として認定しています。

エコレビューは、研究開発から製品化に至るまでの各ステージで実施するため、研究開発段階で改善が必要と判断されたテーマは、次のエコレビュー実施時までに改善されることになります。これにより、製品や技術を開発しながら、環境への負荷をより低減させ、環境により貢献できる製品に改善されていく仕組みとなっています。

エコレビュー評価項目

エコレビュー評価項目

審査・認定プロセス

審査・認定プロセス

「エコパートナーシステム®」

エコレビュー制度において一定基準以上の評価を得たものを、環境負荷の低減に貢献する「エコパートナーシステム®」として認定しています。「エコパートナーシステム®」の評価基準には「省資源」など五つのカテゴリがあります。製品のライフサイクル(原材料〜廃棄まで)を六つのステージに分け、各ステージにおける環境影響を評価し、認定しています。

五つの評価基準

「エコパートナーシステム®」ロゴ

目標と実績

「エコパートナーシステム®」製品の売上比率を2030年度までに全売上高の40%、2050年度までに60%とすることを目指しています。

2022年度の「エコパートナーシステム®」製品の売上高比率は35.2%となりました。今後も環境配慮製品の創出に取り組んでいきます。

なお、本認定制度の適用範囲をグループ会社へ拡大することを検討しており、「エコパートナーシステム®」製品の売上高比率をグループ全体で算定するための課題特定に着手しました。

項目 2030年度目標 2022年度実績
「エコパートナーシステム®」製品の売上高比率(単体) 40% 35.2%

「エコパートナーシステム®」製品評価基準ごとの売上高(2022年度)

五つの評価基準
温暖化防止 506億円
省資源 326億円
廃棄物削減 562億円
化学物質削減 501億円
その他の環境貢献 303億円
※ 表中の売上高は、複数の基準で設定するため重複を含む

取り組み

「エコパートナーシステム®」製品

「エコパートナーシステム®」として認定を受けている製品をご紹介します。

主な「エコパートナーシステム®」製品

対応分野・市場 用途 使用材料
温暖化対策 リサイクルPETフィルム リシャイン®
網状クッション体 ブレスエアー®
環境汚染対策(生態系保全) 液状保水材 エスペック®
溶剤回収装置 Kフィルター®
火力発電所用排ガス集じんフィルター プロコン®
水現像可能凸版印刷材料 プリンタイト®
蒸着フィルム エコシアール®
水資源問題対策(水関連製品) 海水淡水化用ROモジュール ホロセップ®
資源循環システム(リサイクル・省資源) リサイクルPETの成形用改質材 バイロン®RFシリーズ
エアバッグ端材のリサイクルナイロン樹脂 エコクレリーフ®
リサイクルPET繊維製品群 エコールクラブ®
再生PET合成紙 クリスパー®
未利用綿使用の紡績糸 エコット®
ペットボトル再生不織布 e-ボランス®
その他(環境配慮型製品) 屋上緑化用資材 コスモジオ®
軽量・高強力繊維 イザナス®

「エコパートナーシステム®」 製品一覧

温暖化防止、化学物質削減、省資源、廃棄物削減、その他環境改善に貢献する製品を紹介します。

「エコパートナーシステム®」製品(東洋紡)(326KB)

「エコパートナーシステム®」製品(東洋紡エムシー)(208KB)

「エコパートナーシステム®」製品(東洋紡グループ)(190KB)

LCA算定の取り組み

当社では、LCAを実施するためのソフトウェアMiLCAを導入し、適宜LCAの算定を行っています。

削減貢献量算定

2022年度より、ベースライン製品と当社製品のcLCA(carbon- Life Cycle Analysis)を比較し、当社製品へ置き換えることによるCO2削減への貢献量(削減貢献量)の算定を開始しました。まずは、当社グループの代表的な技術として、逆浸透膜(RO膜)とVOC(揮発性有機化合物)回収装置の削減貢献量を算定しました。今後も算定対象製品を拡大していきます。
お客様が当社グループの製品を使用する際に発生するCO2排出量を削減し、サプライチェーン全体で気候変動の緩和に貢献します。

事例① VOC回収装置

大気汚染や人体への影響が懸念されるVOC(揮発性有機化合物)の排出を抑制するために、当社グループの「VOC回収装置」が世界各国で使われています。 当社グループのVOC回収装置は、独自の活性炭素繊維「Kフィルター®」を内蔵し、塩化メチレン(EV用リチウム電池のセパレータ工程等に使用)や、酢酸エチル(ドライラミネート、 接着工程等に使用)、トルエンやIPA(イソプロピルアルコール)など、さまざまな有機溶剤の排出抑制や回収再利用に貢献しています。

2022年度に当社グループが販売した水蒸気脱着式VOC回収装置が15年間稼働した場合、 VOC(塩化メチレンなど)の回収量は約600万トンとなります。また、「Kフィルター®」は粒状活性炭より吸着速度が速く、不純物が少ない高機能吸着材であることから、高品質の溶剤回収と省エネルギー化が可能です。酢酸エチルやトルエン、 IPA等の可燃性VOC処理において、当社の水蒸気脱着式「Kフィルター®」VOC回収装置はVOC燃焼装置に比べ処理時の CO₂排出量を約50~70%削減できます。

さらに、当社グループは、より省エネルギー性に優れた窒素脱着式「Kフィルター®」VOC回収装置の販売も行っています。独自の循環方式で窒素を清浄化して循環使用しているため、低いランニングコストで処理できる他、水溶性溶剤の回収・再利用や排水の大幅減量が可能です。従来の水蒸気脱着式と比べ、処理時のCO2排出量を約50~80%削減できる見込みです。

今後は、窒素脱着式の拡販やVOC回収装置の用途拡大により、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

  • 当社グループ試算
VOC処理装置のCO2排出量比較(例)

VOC回収装置グラフ

  • (算定条件:VOC処理能力は、燃焼装置と回収装置で同一条件に設定し算定(当社グループ試算))

VOC回収装置

VOC回収装置

事例② RO膜による海水淡水化

世界的な水不足が顕在化する中、特に淡水が不足しやすい地域における水不足問題に対し、海水から淡水を低エネルギーで生産可能な中空糸型逆浸透膜(RO膜)を世界各国に提供しています。従来の海水を沸騰蒸発させ、その水蒸気より淡水を得る「蒸発法」に比べて、当社グループ製のRO膜を使用した方法はCO₂排出量を大幅に削減できます。

当社グループ製RO膜はバイオマス材を主原料としています。また、長期間(耐用年数8年以上)にわたり高純度の淡水を生産でき、耐塩素性を有する膜素材のため低コストでメンテナンス可能などの特徴があります。

2021年度は、当社グループが販売したRO膜エレメントが8年間使用された場合、淡水造水量は約9億m3となり、削減貢献量(CO2排出削減)は、約900万トンとなります(当社グループ試算)。

今後は、膜による海水淡水化により1,000万人分の生活用水の需要を賄えるように拡大していきます。

海水淡水化プラント

海水淡水化プラント

バイオマスマーク

バイオマスマーク