安全・防災
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マネジメントアプローチ
考え方・方針
当社グループは、「安全衛生の確保は企業活動の大前提」と認識し、当社グループの従業員のみならず、協力会社の方も対象とした「東洋紡グループ安全衛生基本方針」を定め、安全な職場環境づくりに努めています。
2022年4月より、「私たちは『安全最優先』を徹底しますー労働安全、環境安全、製品安全、設備安全ー」を当社グループの安全宣言としました。2023年度のスローガンは「自分を守る、仲間を守る、気付きを声に出す」です。2024年度も同様です。
当社グループは、9月を「防災月間」、9月6日を「東洋紡グループ防災の日」と定め、火災を含めた防災に関する啓発活動を推進しています。
これは2018年9月6日に発生した敦賀事業所第2火災、2020年9月27日に発生した犬山工場火災による死亡事故の記憶と教訓を決して風化させないという強い決意によるものです。
「火災に強い現場づくり、火災に強い人づくり」に取り組み、社会からの信頼を再び回復できるように、強靭な生産拠点の構築を目指します。
<東洋紡グループ安全衛生基本方針>
- 安全衛生理念
『安全衛生の確保は企業活動の大前提』を基本に、人間尊重の精神のもと、従業員の安全確保と衛生環境の向上、健康の増進を積極的に推進し、明るく、幸せな職場と豊かな社会作りを目指します。
- 安全衛生活動方針
- (1)
- 職場安全の確保
東洋紡グループは、職場での安全保安環境を向上させ、ゼロ災の実現に向けて取り組みます。 - (2)
- 環境衛生の向上と健康の増進
東洋紡グループは、職場の衛生環境の向上を進め、従業員の健康の増進を図りつつ、幸せな職場の実現に向けて取り組みます。 - (3)
- 社会規範の順守
東洋紡グループは、社会ルールを守り、企業が共生できる豊かな地域・社会の実現に向けて取り組みます。
体制
経営上の最重要課題である安全と保安防災に関する取り組みを着実に進めるために、強い権限を持つ社長直轄の組織として「安全防災本部」を設置しています。
安全防災本部長(代表取締役 兼 専務執行役員)は、各分野の専門家を委員とする安全防災会議を主催します。この会議では、安全・防災活動の有効性を評価するとともに全社の方針を立案・策定し、サステナビリティ委員会で方針を決定します。進捗については、適宜取締役会に報告します。
安全防災本部の傘下にある、安全・防災活動を企画・推進する環境安全防災部は、各部門代表をメンバーとする安全防災推進会議を主催します。この会議では、方針に基づいた具体的事項の審議・決定と進捗を管理しています。同会議は、議長およびメンバーでチームを編成し、当社の各事業所・工場およびグループ会社に赴いて安全環境アセスメントを実施し、現地の活動を点検しています。特に火災・爆発リスクについては、第三者の専門家により現地の管理状況を定期的に点検しています。
さらに、事業所・工場・研究所に「安全衛生委員会」を設置しています。同委員会は従業員代表と管理者および専門家の代表から構成され、リスクアセスメント状況を含む、職場における従業員の安全衛生および健康に関する事項を調査・審議しています。
なお、安全防災推進会議や安全衛生委員会には労働組合の代表者も協議に参画しています。
「安全」「防災」「環境」に関する当社グループ体制
目標とKPI
<目標>
- 東洋紡グループ全体で、安全の基本を明確にし、徹底的に守り、災害・事故防止に努めます。
<KPIと実績>
取り組み項目 | KPI | 目標 | 実績(2023年) |
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- 重大災害:厚生労働省が規定する定義に準じ、社内基準を設置
取り組み
安全への取り組み
労働安全への取り組みとして、「東洋紡グループ安全衛生基本方針」に基づいて、以下の取り組みを進めています。
人・作業・設備の安全化
重大危険源を特定し、対策を講じて重大災害を防止しています。具体的には、リスクアセスメントや作業研究を通じて現場のリスクを把握し、設備や作業工程を改善しています。さらにそれらを手順書に盛り込んで従業員に教育し、災害の未然防止に取り組んでいます。他社や他職場で災害が発生した場合には、事例研究を行い類似災害の発生を防ぐとともに、自らの職場に同様のリスクがないかを点検し、対応しています。
また、「安全・防災ニュース」の配信を行い、実際に起こった災害・事故の教訓として安全に作業をするための注意点や災害時の対応などをイラストでわかりやすく解説し啓発しています。職場の安全ミーティングの場で対話のツールとして活用が広がっており、いつでも閲覧できるように社内イントラネットにバックナンバーを掲示しています。
加えて、外国人技能実習制度(海外研修生)を運用している事業所では、実習生の安全や生活(コミュニケーション)を確保するために、担当者を配置して日本語教育や生活支援を行っています。一例として、現場では実習生が安全に作業を行うために、標準作業手順書(SOP)を翻訳したり、ひらがなでよみがなをふったりして、理解がしやすいように工夫をしています。
保安防災の推進
火災事故を教訓とし、火災発生の際、自分たちの職場を自ら守ることができるよう、防災訓練の内容もより実践的なものに見直すとともに、当社事業所・工場における協力会社も含む全従業員が毎年1回以上訓練に参加できるようにしました。事業所内外のグループ会社についてはグループ方針に基づき推進しており、対象会社は順次拡大しています。
各現場の防災強化に向けて確実な対応を進め、「火災を発生させない」「万が一発生しても人的被害を発生させず、その他の被害も最小限で食い止められる」現場を目指します。そのため防火設備のガイドラインおよび防災管理基準を定め火災リスク低減を推進しています。また、火災・爆発リスクについては、第三者の専門家により現地の管理状況を定期的に点検しています。
自然災害に対しては、建物の耐震補強をはじめ事業所および工場のインフラの整備と緊急時の対応訓練などにより減災対応を継続的に実施しています。
3S活動・教育
安全・防災活動の基盤となる3S(整理、整頓、清掃)活動を全社で取り組んでいます。全社共通の安全・防災教育体系を整備し、階層ごとに必要な安全・防災教育を実施しています。
また、「安全・防災知識教育」を目的とし、全事業所にパネル展示を中心とした研修スペースと主要拠点に安全防災体感研修施設を設置しています。
安全防災体感研修施設の活用
過去の災害事例の振り返りと風化させないことを目的とし、安全防災に対する知識・感度を高め、災害の怖さを模擬設備で体験する防災研修施設を敦賀事業所、岩国事業所、犬山工場に設立し、社内外での研修に活用しています。
例えば、当社グループだけでなく全国的にも災害事例の多い歩行中での転倒や段差からの転落体験、機械設備への巻き込まれ災害等の怖さ体験ができる施設、火災で発生する煙の怖さや避難の難しさを体験できる施設、粉じんや静電気による引火からの火災や爆発の怖さ体験等を備えています。加えて、これまで当社グループで発生した災害事例をデジタルサイネージ等で共有し、研修者には改めて安全、防災についての気づきを得る場としています。
労働災害休業度数率(国内)
当社グループでは、「東洋紡グループ安全衛生基本方針」にのっとり、ゼロ災害の実現に向けて取り組んでいます。2023年の労働災害休業度数率※1は、事業所構内にある協力事業所も含めて、1.15でした。
KPIで重大災害※2の発生件数ゼロを目標としており、2023年は重大災害は0件でした。
- 労働災害休業度数率とは、百万労働時間当たりの被災者数を表したもの
- 重大災害:厚生労働省が規定する定義に準じ、社内基準を設置
労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の取得
当社は、労働環境のリスクを低減するため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の適合証明取得を進めています。2024年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場の3拠点が取得しています。引き続き、他の事業所・工場での取得を進めていく予定です。
火災事故再発防止への取り組み(2023年度)
2018年9月発生の敦賀事業所第2火災事故、2020年9月発生の犬山火災事故を踏まえ、安全文化の醸成(安全最優先の意識の定着と教育体系の見直しなど)と安全基盤の整備(安全防災設備および管理の充実のための計画の策定やPDCA体制の構築など)の二つの側面から再発防止に取り組んでいます。
安全文化の醸成
これまで、それぞれの現場で「安全最優先」に取り組んできましたが、経営層の関与が薄いことが課題でした。そこで、安全最優先の風土づくりの一環として、2022年4月に「安全宣言」を策定し、労働・環境・製品・設備に関し、安全を最優先するという経営姿勢を改めて全従業員に示しました。
また、意識改革の一環として、階層別安全教育体系を見直し、外部機関を活用した経営層向け安全ワークショップや管理職教育を開始しました。2021年12月に開催した経営層向け安全ワークショップでは、他社の事例を役員全員が学びました。2022年度より、新任役員とグループ会社社長を対象に安全ワークショップを開催し、現在も継続しています。
2022年11月に、経営層および東洋紡従業員と各生産にある協力会社従業員の皆さんの安全に対する意識調査を実施し、それぞれの組織における安全意識レベルを確認しました(対象7,525人。回答率93%)。安全に対するリーダーシップ、組織体制、業務運営の各要素に対して強み・弱みが見える化されました。調査結果をもとに、各組織の弱み(課題)を克服するための活動を推進しており、組織の安全文化レベルの向上を図っています。
安全基盤の整備
短期予算偏重の事業運営を背景として安全・防災に必要な対策・費用確保が先送りされてきたことを踏まえ、「安全・防災中期経営計画」を2021年度に策定しました。外部の専門家と協働して国内グループを含む29拠点のリスクマップを作成して、各拠点の自然災害リスクを評価し、災害対策を進めるとともに、将来の事業所構想に反映しています。さらに、全事業所で防災機能の見直しを実施し、火災拡大・延焼リスクの対策を実施する必要がある拠点を洗い出しました。その結果、グループ全体で、186億円を追加投資し、2025年度までに対策を完了する予定です。
加えて、防災管理プロジェクトを立ち上げ、防災管理の仕組みづくりを進めています。具体的には、専門家の知見を踏まえ、火災予防のためのグループ統一の防災管理基準を策定しました。策定に当たっては、実態に合わせた防災管理基準とすることで、現場で自主点検ができるよう配慮しました。さらに、各職場の運用状況を定期的に専門家がチェックする体制も構築しています。
2024年度の重点課題
2024年度は、下記を重点課題として取り組みを進めていきます。
- 全員参加の安全防災活動の展開
- 繰り返し労働災害の撲滅
- 階層別研修の充実
安全文化を高めるための取り組み
- この表現は、安全文化の発展段階を表す「dss+ブラッドリーカーブ」からの引用です