コーポレート・ガバナンス

マテリアリティ
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コーポレート・ガバナンス

マネジメントアプローチ

基本的な考え方

当社グループは、時代の変化に対応し、持続的な企業価値の向上のため、「意思決定の迅速性と的確性の確保」「経営の透明性の確保」「公正性の重視」の考え方に立って、グループガバナンスの強化に取り組みます。

コーポレート・ガバナンス体制

当社は、監査役設置会社という形態の下、執行役員制を導入しています。執行役員制については経営規則において規定し、取締役会が執行役員による業務執行を監督する体制としています。取締役会による「意思決定・監督」と執行役員による「業務執行」を明確に分離し、迅速な意思決定と効率的な業務執行ができるガバナンス体制を構築しています。

コーポレート・ガバナンス体制(2020年6月現在)

コーポレート・ガバナンス体制

各会議の開催状況(2019年度)

開催回数
取締役会 19回
監査役会 15回
取締役指名等審議会 2回
役員報酬等諮問会議 2回
社外役員連絡会 7回
統括執行役員会議 31回
企画審議会 10回
管理審議会 20回

社外役員の出席状況(出席率)(2019年度)

取締役会 監査役会 取締役指名等審議会 役員報酬等諮問会議
岡 豪敏(取締役) 18/19回(95% 2/2回(100%) 1/2回(50%
中村 勝(取締役) 19/19回(100%) 2/2回(100%) 2/2回(100%)
磯⾙恭史(取締役) 16/19回(84% 2/2回(100%)
桜⽊君枝(取締役) 15/15回(100%) 2/2回(100%)
⽵中史郎(監査役) 19/19回(100%) 15/15回(100%) 2/2回(100%)
杉本宏之(監査役) 18/19回(95% 15/15回(100%) 2/2回(100%)

取締役会

取締役会は、社外取締役4人を含む10人で構成しています。経営環境の変化に迅速に対応し、責任を明確にするために、任期は1年としています。

2019年6月開催の定時株主総会において、多様性と監督機能を強化する観点から社外取締役1人(女性)を増員しました。また、2020年6月開催の定時株主総会において、さらなる「意思決定・監督」と「業務執行」の分離を狙った体制変更を実施しました。具体的には、取締役には、社外取締役のほか、全社的な視点で業務を行う部門を統括する執行役員を中心に選任し、個別の事業を担当する執行役員が、各事業部門・専門分野に注力しやすい体制としました。

2019年度の取締役会においては、法令および定款に規定された事項や事業買収などの重要な投資案件を決定するとともに、各事業の業務執行状況の報告を受け、適正な監督を行いました。

なお、社外役員(社外取締役、社外監査役)の機能をより活用するため、重要案件について、取締役会の事前説明を行うとともに、社外役員全員で構成する社外役員連絡会を定期的に開催し、経営課題に関する認識の共有、意見交換を行っています。

監査役会

監査役は、社外監査役2人を含む4人の体制で、取締役会などの重要会議に出席し、必要に応じて意見を述べるとともに、各部門の業務監査などを通して取締役の職務執行を監査しています。

会社法に基づく会計監査は「有限責任あずさ監査法人」へ委嘱しており、監査役は、会計監査人から監査計画、監査結果の報告を受けるほか、定期的に情報交換会を実施しています。また、内部統制の実効性をモニタリングする内部監査部とも情報交換を行っています。

統括執行役員会議

執行役員は、取締役を兼務する者も含め20人で構成しています。統括執行役員が出席する統括執行役員会議では、取締役会決議事項の事前審議と取締役会より委任された業務執行に関する事項の決定を行っています。

統括執行役員会議の下部機関として、企画審議会、管理審議会を設置し、重要な投資および新規事業案件、重要な投融資案件などをそれぞれ専門的な観点から審議することにより経営に関するリスクを管理しています。

また、執行役員をメンバーとしたワーキンググループを設け、当社グループの将来像などについて議論しています。

取締役等指名審議会/役員報酬等諮問会議

取締役などの指名・報酬の決定にあたっては、透明性、公正性を確保する観点から、取締役指名等審議会と役員報酬等諮問会議において審議し、取締役会への答申を行っています。

取締役等指名審議会は、代表取締役2人および社外役員6人で構成し、取締役、執行役員の選任などについて、取締役会の諮問に対し、公正性、透明性の観点から答申を行っています。役員報酬等諮問会議は、代表取締役2人および社外取締役3人で構成し、役員報酬などの体系、水準、算定方法について、外部機関の調査結果も踏まえながら、客観的かつ公正に審議、検証を行っています。

目標とKPI

<目標>

「コーポレートガバナンスコード」対応、積極的な情報開示などを通じ、公正で透明性の高いガバナンス体制を構築します。

<KPIと実績>

取り組み項目 KPI 目標 実績(2019年度)
  • コーポレートガバナンス強化
  • 情報開示強化
  1. 取締役会/委員会の開催回数
  1. 実績開示
  1. 取締役会:19回、委員会:4回
  1. 1.の役員ごとの出席率
  1. 実績開示
  1. ウェブサイトに掲出済
  1. 取締役会の実効性評価内容開示
  1. 実効性評価内容開示
  1. コーポレートガバナンス報告書の記載に準ずる
  • ※ 取締役指名等審議会、役員報酬等諮問会議

体制強化の歩み

当社グループは、コーポレート・ガバナンス強化に継続的に取り組んでいます。

コーポレート・ガバナンス強化に向けたこれまでの取り組み

取り組み内容とその目的
1998
  • 倫理委員会(現 サステナビリティ委員会)を設置
    経営の重点項目として全社的なコンプライアンス活動を推進
2004
  • 社外取締役を1人選任し、取締役任期を1年に短縮
    監督機能の強化と任期短縮による経営責任の明確化
  • 役員関連規定等諮問会議(現 役員報酬等諮問会議)を設置
    役員報酬などの決定手続きにおける透明性、公平性を確保
2005
  • 執行役員制度を導入し、取締役を減員
    決定・監督機能と執行機能を分離
2015
  • 社外取締役を2人に増員
    複数選任による監督機能の強化
  • 社外役員連絡会を設置
    社外役員の機能を活用するため情報交換会を定期的に開催
  • 取締役等指名審議会を設置
    取締役の選解任などの決定手続きにおける透明性、公平性を確保
2016
  • 取締役会全体の実効性について、分析・評価を実施
    以後毎年実施し、取締役会の課題抽出と改善活動を継続
2018
  • 社外取締役を3人に増員、全取締役の3分の1に引き上げ
    取締役会メンバーの多様性を確保し、さらにガバナンスを強化
2019
  • 社外取締役を4人に増員(うち女性1人)
    取締役会メンバーの多様性確保をさらに推進
  • 役員報酬制度の見直し(譲渡制限付株式報酬の導入)
    中長期のインセンティブおよび株主との一層の価値共有
2020
  • 取締役会による「意思決定・監督」と執行役員による「業務執行」の明確な分離

取締役スキルマトリックス

業務を執行する取締役の選定については、担当分野に必要な経験と資質を有しているかどうか、全社的視点を有しているかどうか等を踏まえ、執行役員の中から選定しています。

取締役スキルマトリックス(2020年6月現在)

独立 年齢 性別 当社が求める専門性のうち、特に生かすことができるスキル
(社内取締役は3つ、社外取締役は1つを選定)
海外
経験
企業
経営・
経営
戦略
営業・
マーケティング
財務
会計
法務・
倫理
人事・
人材
開発
研究・
開発
サステナビリティ 生産
技術・
品質
社内 楢原誠慈 63歳
渡邉 賢 63歳
竹内郁夫 57歳
大槻弘志 59歳
荒木良夫 60歳
白井正勝 57歳
社外 中村 勝 66歳
磯貝恭史 71歳
桜木君枝 61歳
播磨政明 69歳

取締役会の実効性評価

当社は、2020年1月から3月にかけて、取締役会の機能をさらに向上させることを目的として、外部機関の助言を得ながら2019年度の取締役会全体の実効性に関する分析・評価を実施しました。

実効性分析・評価の方法

取締役および監査役に対し、アンケートを実施し、当該アンケートへの回答は、前年度に続いて外部機関に直接行う方式としました。分析・評価は、取締役会において、外部機関からの集計結果の報告を踏まえた上で実施しました。

評価結果の概要

  1. アンケート結果から、取締役会の員数、社内と社外の割合、多様性といった構成面や議事運営など、おおむね肯定的な評価が得られており、取締役会全体の実効性を確保できていると評価する。
  2. 取締役会は、中長期的な経営戦略に関する議論のさらなる充実を図るため、付議基準を見直し下位の会議体などに適切な権限委譲を行うなど、持続的な成長に向けた取り組みを推進する。
  3. 昨年度からの取り組みを継続するとともに、グループ経営機能の一層の強化を図る。

役員報酬

当社における役員報酬制度は、役員報酬等諮問会議において、株主総会で決議された役員報酬の額の範囲内で、①当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上につながる動機付けとなること②優秀な経営人材の確保につながること③決定の手続きが客観的で透明性の高いこと、を基本方針として設計しています。

2019年度は、上記の方針に基づき、株式報酬制度を導入するなど取締役の報酬体系を見直しました。

役員報酬の内容(2019年度)

役員区分 報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる役員の員数(人)
月例報酬 株式報酬
取締役(社外取締役を除く) 340 312 28 6
監査役(社外監査役を除く) 51 51 - 2
社外役員 55 55 - 6

役員のトレーニング

新任の取締役・監査役に対して、役割・責務に関する説明を行うほか、執行役員や取締役就任時に外部研修プログラムへ派遣し、必要な知識の習得を支援しています。

また、新任の社外取締役・社外監査役に対しては、会社の事業・財務・組織などに関する説明を行っています。

さらに、就任後も外部研修プログラムへの参加を支援するとともに、外部講師による講義を開催し、各自が継続的に経営リテラシーを強化できるよう取り組んでいます。

社外取締役メッセージ

BtoC企業での経験を生かして

桜木君枝

取締役(社外取締役)
桜木君枝

社外取締役に就任する前に楢原社長とお話をさせていただいた時に、「われわれは、素材を提供している顧客企業を通して、最終的には一般消費者にお届けするものを提供しています。当社の仕事はBtoBだと思われていますが、BtoBtoCなのです」というお言葉をいただきました。私は前職でBtoCの事業構造をとる会社に属していたため、BtoBの当社で貢献できることはあるのだろうかという点を懸念していましたが、このお言葉で私に期待されていることがはっきりと理解できました。

これまで企業倫理・コンプライアンス責任者や監査役を務める中で大切にしてきた判断基準は、「会社の企業理念に合致しているか」「ステークホルダーの期待に応えているか、期待を裏切っていないか」「言っていることとやっていることは一致しているか」ということでした。これらに加え、BtoC企業での仕事を通じて培ってきた「市民としての視点」と「消費者としての視点」を発揮して社外取締役としての責務を果たしていきます。

コーポレート・ガバナンス改革

当社グループは、この1年間、理念体系の再整理や組織改革など、中長期的な成長のための施策を着実に進めてきました。

コーポレート・ガバナンスの側面では、現場へのさらなる権限委譲を進め、取締役会は中長期の成長戦略策定とそのモニタリングを中心とする体制とし、一層の「監督と執行の分離」を実現しました。

堅実かつ安定的に利益を生み出す企業体質への転換を成し遂げた今、2025年度連結売上高5,000億円の達成に向け、どのようなロードマップを描くのか。これが今後の取締役会に課せられた最重要課題であると認識しています。

女性活躍の推進

女性の活躍推進、特に登用については大きな課題であると考えます。「女性活躍推進グループ」が組成され、多数の施策が実施されていますが、管理職比率が4.3%(2019年度)とまだまだ低い現状です。

私も就任後すぐに自分自身のキャリアに関する体験談を話す機会をいただき、また何人かの女性管理職の方ともお会いしました。東洋紡の女性管理職は優秀な方がそろっていると感じました。しかし、今一度、会社として、何のための女性活躍推進なのかということを考えることが必要だと思います。

家庭における消費財の購入決定権の多くは女性が握っていると言っても過言ではないでしょう。マーケットと向き合いビジネスモデルやビジネスのあり方そのものを変えていこうとしている局面にあって、市場ニーズを探りビジネス構築を行っていくプロセスや事業の意思決定プロセスに女性の視点を十分に反映しないのは、企業としての損失に他なりません。女性の活躍と企業業績は比例するという調査結果も出ています。会社としての施策のさらなる工夫、そして同時に女性従業員側の意識改革も必要であると考えます。

これからの東洋紡

アフターコロナの社会がどのようになるのかは不透明ですが、人々の生活や健康に対する価値観は大きく変化するでしょう。東洋紡はすでにPCR検査試薬や検出キット、マスク素材、医療用フェイスシールドの材料などを提供し、この感染症の拡大予防に貢献していますが、これらにとどまらず、「人と地球に求められるソリューションの創造」をさらに加速していくべきだと考えます。

再整備された理念体系「TOYOBO PVVs」の「TOYOBO Spirit」では、「挑戦」「信頼」「協働」の3つが掲げられています。東洋紡は、非常に誠実でまじめな素晴らしい会社です。高い技術力に裏付けされた顧客からの「信頼」を積み重ね、ステークホルダーとの十分な「協働」も実現できていると思います。しかしながら、「挑戦」については不十分であると感じます。今後は、顧客や市場との向き合い方を変え、発想を柔軟にし、社会が東洋紡に期待するものに応えるべく、新しい価値を創造することに今まで以上に積極的に「挑戦」すること。それがこれからの当社グループにとって最も大切だと考えます。