フィルム・機能樹脂「太陽光発電システム用フィルム」

(CSR報告書2010より)

環境に優しく高い耐久性が期待される「太陽光発電システム用フィルム」

太陽光発電システムに使われるバックシート用PETフィルム「シャインビーム®」は、重金属フリーで環境に優しいフィルムです。開発がスタートしたのは、13年前でした。

1997年、総合研究所のポリエステル重合グループは重金属を含まない新しい触媒の開発に着手しました。「昔からポリエステルを製造するには重金属のアンチモン系触媒が代表的。アルミニウムは低活性で、触媒には向かないと考えられていました」(荒木)

研究を重ねた結果、アルミニウムを使い、触媒活性とポリエステルの熱安定性を両立させた、GS触媒の開発に世界で初めて成功。この触媒により色調が良く、非常に透明度の高いポリエステルの製造が可能となり、世界中から注目を集めました。

地球環境保全への意識が高まる中で、このGS触媒の特性を活かせないかと考えた当社グループは、2008年、GS触媒を使って太陽光発電システムに使われるバックシート用フィルムの開発をスタートさせました。「バックシートにはフッ素系のフィルムが使われていましたが、納期が遅延することがしばしばあるとの情報がありました。そこで手に入れやすい素材で安価かつ環境に優しいシートを開発することになりました」(森重)

耐加水分解ポリエステルフィルム「シャインビーム®」は完成までに2年かかりました。重金属フリーで環境に優しいだけでなく、水や熱に強いため、バックシートとして使用すれば、太陽光発電システム自体の寿命も延ばすことができます。

2010年5月、「シャインビーム®」はアメリカの安全認証機関Underwriters Laboratories®の仮認証を取得しました。「正式に認証を取得した後は全世界を視野に入れてコンバーターなどの取引先へ本格的にアピールしていく予定です」(澤崎)

工業フイルム事業総括部の鈴木はこの開発を振り返って、「このフィルムは、触媒とシート開発など当社グループが持つ技術力が集結してできたもの。短期間で完成できたのも、部問を超えた従業員の協力があったからだと思います。今後はスマートグリッドなどの利用による効率の良いエネルギーの使用方法が問われてきますが、私たちはバックシートで太陽光発電システムの耐久性を上げることにより、再生可能なエネルギーの供給拡大に貢献したいと考えています。また、太陽光発電システムの市場はアジアはもとより全世界に広がると見られますので、『世界の東洋紡』を目指して世界で活躍していきたいと思います」。

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展示会で「シャインビーム®」が大盛況

展示会で「シャインビーム®」が大盛況

4月14日から16日までの3日間、東京ビッグサイトで第1回フィルムテックジャパン―高機能フィルム技術展―が開催され、当社も出店しました。展示ブースでは、特に「シャインビーム®」に注目が集まり、説明員が不足するほどの盛況ぶりを見せました。また、「シャインビーム®」の耐久性に注目するお客さまも多く、屋外で使いたいというご要望もありました。環境保護への意識が高い企業の方々からは、「サンプルが欲しい」という声が寄せられるなど、手ごたえを感じた展示会となりました。

用語解説

重金属
微量でも繰り返し摂取することで体内に蓄積し、人体に害を及ぼす可能性があるとされる金属。アンチモンもその1つで、代替素材の開発が進んでいます。
触媒
特定の化学反応を促進させるために添加する化合物のこと。ポリエステル製造には、アンチモンやゲルマニウム、チタニウムなどを使った触媒があり、中でもアンチモン系が世界中で最も多く使用されています。
Underwriters Laboratories
米国で最も著名な認証試験機関で、あらゆる電気製品の認証試験を実施しています。日本ではUL認証と呼ばれ、「シャインビーム®」は、耐熱性では仮認証、難燃性では認証を取得しています。
スマートグリッド
火力や原子力などの大規模発電や、風力や太陽光など分散型発電をはじめとする電力の供給側と、一般家庭やビルなど電力の需要側との間でやり取りを最適化する、次世代の電力ネットワーク。

特集:東洋紡と「歩む」