世界最高レベルの寸法安定性を持つ高耐熱フィルムを事業化-ディスプレーやセンサー用途展開に向け長瀬産業(株)と合弁会社を設立-
当社は、ガラスやシリコンウエハーと同等で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性※1を持つ、高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®」を事業化します。長瀬産業株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:朝倉研二、以下「長瀬産業」)との合弁により、生産・販売会社を設立するとともに生産工場を当社の敦賀事業所内に建設します。
今後、電子回路基板材として、既に採用されている電子ペーパーディスプレーに加え、有機ELなどのフレキシブルディスプレーやセンサー向けに用途を展開します。
高耐熱性ポリイミドフィルム 「ゼノマックス®」
1. ポリイミドフィルムについて
ポリイミドフィルムは、強固な分子構造を持つポリマーフィルムの一種です。高い耐熱性や優れた絶縁性を有しているため、主に電子回路基板材用の絶縁フィルムとして使われてきました。
一方、ディスプレーやセンサーなどに用いられる薄膜トランジスタ(TFT)などの電子回路は、高い加工温度に耐える必要があるため、従来はガラス基板上に形成されてきました。近年、ディスプレーやセンサーの軽量・薄型化やフレキシブル化が進むにつれて、薄くて曲げやすいポリマーフィルム上に形成したいとするニーズが急速に高まってきました。このため、ガラス基板上にTFTを形成する際と同じ加工温度下でも、変形や伸び縮みしない耐熱ポリマーフィルムが求められていました。
2. 高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®」について
「ゼノマックス®」は、室温から500℃まで熱膨張係数※2が約3ppm/℃と一定で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を持つポリイミドフィルムです。米国の研究機関であるミシガン・モレキュラー・インスティチュート(Michigan Molecular Institute)から独占実施権を得た技術と、当社の持つ高耐熱ポリマーの合成技術やフィルム製膜技術を融合し、従来のポリイミドフィルムでは不可能だった、ガラス基板と同等の高い寸法安定性を実現しました。コーポレート研究所を中心に開発を進め、製品化に成功しました。これにより、400~500℃の高温下で加工が必要なTFTの基板材として使用することが可能になりました。これまで、研究所内のパイロット生産設備で製造し、電子ペーパーディスプレー向けのTFTの基板材として使用されてきました。
3. 今後の展開
2018年度前半に長瀬産業との合弁による「ゼノマックス®」の生産・販売会社を設立し、生産工場を敦賀事業所(福井県敦賀市)内に建設します。電子ペーパーディスプレー向けTFT基板材の需要増に対応するとともに、「薄い」「軽い」「割れない」「曲がる」などのフィルムの特性を生かし、フレキシブルな有機ELディスプレーや各種センサー用途に加え、ガラスやシリコンウエハー、セラミックなどに代わる基板材料として展開を図ります。
長瀬産業との協業のもと、高性能・高耐熱フィルムの市場ニーズに応え、早期に100億円規模の事業の構築を目指します。
【生産・販売合弁会社の概要】
社名 | : | 未定 |
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所在地 | : | 福井県敦賀市東洋町10-24 (東洋紡株式会社 敦賀事業所内) |
代表者 | : | 未定 |
資本金 | : | 34億円 |
出資比率 | : | 東洋紡:66.6%、長瀬産業:33.4% |
従業員数 | : | 約40名(予定) |
設立 | : | 2018年4月(予定) |
事業内容 | : | 高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®」の製造、販売 |
【新設する生産工場の概要】
「ゼノマックス®」生産工場 完成予想図
所在地 | : | 上記の生産合弁会社と同じ |
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延床面積 | : | 約4,300平方メートル |
構造/階数 | : | 鉄骨 / 2階建(一部5階建) |
着工 | : | 2017年12月(予定) |
操業開始 | : | 2018年10月(予定) |
投資額 | : | 約30億円 |
【長瀬産業株式会社の概要】
商号 | : | 長瀬産業株式会社 NAGASE & CO., LTD. |
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創業 | : | 1832年(天保3年)6月18日 |
設立 | : | 1917年(大正6年)12月9日 |
代表者 | : | 代表取締役社長 朝倉研二 |
事業内容 | : | 化学品、合成樹脂、電子材料、化粧品、健康食品等の輸出・輸入および国内販売 |
※1 寸法安定性 | : | 温度の上昇に対して物質(材料)の寸法(長さ)の変化が起こりにくい性質。熱膨張係数などで表される。 |
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※2 熱膨張係数 | : | 寸法安定性を表す指標。数値が低いほど寸法安定性が高い。 |
以上
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