ニュースリリース

中空糸型正浸透膜(FO膜)の実用化へ デンマークの浸透圧発電プラントに採用

 当社の中空糸型の正浸透膜(FO膜)が、デンマークのベンチャー企業SaltPower社、産業機械メーカーDanfoss社、エンジニアリング会社SEMCO Maritime社と共同で運営する、浸透圧発電のパイロットプラントに採用されました。9 月より実証実験を開始し、早期の実用化を目指します。

中空糸型正浸透膜

中空糸型正浸透膜

正浸透膜が採用された浸透圧発電プラント

正浸透膜が採用された浸透圧発電プラント

 このたび採用されたのは、中空糸を円筒形の圧力容器に高密度に充填した正浸透膜(FO膜)です。FO膜とは、水分子を通し一定の大きさ以上の分子やイオンを通さない半透膜の一種です。当社は、1970年代に、繊維事業で培った紡糸技術を応用し、中空糸型半透膜を開発。海水を淡水に変える逆浸透膜(RO膜)として、性能や耐久性などが高く評価され、1980年代初めから主に中東湾岸地域の海水淡水化施設で採用実績を重ねてきました。
 デンマークで運転を開始した浸透圧発電プラントは、地下からくみ上げた地熱水と呼ばれる塩水と、淡水の塩分濃度の差を利用して発電します。塩分を通さずに水を通す性質を持つFO膜を隔てて塩水と淡水を接触させると、浸透圧差により塩水側に水流が発生します。この水流を利用してタービンを回すことで発電する仕組みです。近年、地熱水を活用した浸透圧発電は、太陽光や風力に比べ、天候や昼夜に左右されない新しい再生可能エネルギーとして注目を集めています。

 

浸透圧発電の仕組み(模式図)

浸透圧発電の仕組み(模式図)

 

 当社のFO膜は、高密度に充填された中空糸によって水が効率的に流れる内部構造を有しており、発電用のタービンを回すための水流を安定かつ低ロスで発生させられます。また、効率的な浸透圧発電に必要な高い水圧に対して、RO膜用途で実証してきた優れた耐圧性能を備えていることなどが高く評価され、今回の採用に至りました。
 当社とSaltPower社などは、2021年までに当社製の浸透膜を採用した1メガワット規模の浸透圧発電プラントをデンマーク国内で建設するとともに、他の欧州地域にも同規模のプラントを導入する予定です。また、当社は、省エネルギーでの造水が可能な海水淡水化プラントや、工業排水の濃縮システムへのFO膜の展開を積極的に行っていきます。

■ 当社の半透膜事業について
 1979年、海水淡水化用として販売を開始した中空糸型逆浸透膜(RO膜)モジュール「ホロセップ®」は、中空糸の充填密度が大きく、性能が高いこと、また、耐塩素性に優れたセルローストリアセテート素材を採用しているため、膜の洗浄が容易で安定的に使用できることなどが特長です。このため、海水の塩分濃度が高く、膜の汚れのもととなる微生物の多い中東湾岸地域で性能や耐久性が高く評価され、1980年代初めから同地域の海水淡水化施設で数多く採用されてきました。今後、RO膜法に比べて造水コストを低減するFO膜法を用いた海水淡水化や、工業排水の濃縮など、FO膜のさらなる実用化を目指していきます。

■ デンマークで実証実験を開始した浸透圧発電プラントについて
 この浸透圧発電プラントは、デンマークの各地で古くから発達・普及してきた地域熱供給システムの一つに併設されています。地域熱供給システムとは、製造した熱(温水や蒸気など)を一カ所に集約し、配管を通して地域内の商業施設や住宅などに供給するシステムです。地下からくみ上げた地熱水と呼ばれる塩水が熱源の一つとして使用されています。当プラントでは、従来、使用後にそのまま地下に戻されていた地熱水排水を浸透圧発電に必要な塩水として効率よく活用します。
 当プラントは、同型の浸透圧発電方式としては業界最大※の20キロワットを発電します。これは、一般的な家庭約50世帯分の電力に相当します。これまで実験的な浸透圧発電設備はありましたが、実用規模の浸透圧発電プラントが運転を開始するのは世界で初めてです。2019年9月頃まで実証実験を行い、その後1メガワットクラスの発電が可能なプラントを建設、稼働する予定です。
 ※2018年12月17日現在。当社調べ。

<デンマークの浸透圧発電プラントの概要>
・所在地 Augustenborg Landevej 79A 6400 Sønderborg, Denmark
・事業者 SaltPower社
・発電量 20キロワット

以上

本件に関するお問い合わせ先

<リリースに関するお問い合わせ先>
東洋紡株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ

TEL06-6348-4210
FAX06-6348-3443

MAILpr_g@toyobo.jp

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