~理研の技術を活用し製品化~ ゲノム医療の発展に貢献するRNA解析キットを販売

2019年9月17日 製品・展示会

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 当社は、理化学研究所(埼玉県和光市 理事長:松本 紘、以下「理研」)生命機能科学研究センターバイオインフォマティクス研究開発チームが開発した「1細胞完全長トータルRNA シーケンス法『RamDA-seqTM』(以下、『RamDA-seqTM』)※1」を簡便に活用することができる「RNA 解析キット」を製品化しました。

 

RNA解析キット

RNA解析キット

 

 日本国内において2019 年6 月よりゲノム医療の保険適用が開始され、個々の患者の遺伝子を解析することで、適切な治療法や薬剤を選択する個別化医療が進展しています。近年、遺伝子配列に変異が起きるような、がんなどの疾患においては、個々の細胞で性質が異なるため、一つ一つの細胞に含まれるすべての遺伝子を解析することの有効性が示されてきました。しかしながら、従来の方法では、一つの細胞に含まれる微量なRNA※2 から、疾患の原因となる変異を漏れなく計測することが困難でした。

 理研は、2018 年2 月、対象となるRNA を偏りなく増幅し、RNA の発現量と完全長を1 細胞で計測できる『RamDA-seqTM』を開発。一つの細胞の中に存在するRNA の種類と量を網羅的に計測する方法を実現しました。これまで検出が難しいため機能がよく分かっていなかった、非ポリA 型RNA をはじめとする多様なRNA を漏れなく計測することができ、疾患の原因となる遺伝子情報の異常について、解析の精度を飛躍的に高めることに成功しました。

 当社が、このたび理研の技術指導のもと製品化した「RNA 解析キット」には、さまざまな試薬や取扱いマニュアルなど、『RamDA-seqTM』を用いたRNA 解析に必要なコンポーネントが含まれます。理研が発表した論文や実験手順書で指定される試薬が予めキットとして調えられているため、マニュアル通りの手順を踏むことで解析用のサンプル調製をスムーズかつ安定して行うことが可能になります。

 当社の「RNA 解析キット」により、1 細胞レベルの多種・多量なRNA の変異の解析を容易にする『RamDA-seqTM』の普及が拡大し、基礎研究から再生医療・ゲノム医療まで多くの分野の発展に貢献することが期待されます。2019 年9 月30 日から、がんなどの治療薬を開発する製薬会社や研究機関向けに販売を開始。2022 年度に年間10 億円の売上を目指します。

■発売するRNA 解析キット

・次世代シーケンサー解析用cDNA 調製キット『GenNext® RamDA-seqTM Single Cell Kit』
 ¥118,000(24 回用)、¥398,000(96 回用)
・リアルタイムPCR 解析用cDNA 調製キット『RT-RamDATM cDNA Synthesis Kit』
 ¥59,000(24 回用)、¥198,000(96 回用)

「RamDA-seqTM」、「RT-RamDATM」は理研の商標、「GenNext®」は東洋紡の登録商標です。

※1 2018 年2 月14 日付 理研によるプレスリリース「1 細胞から多種多様なRNA のふるまいを計測 -1 細胞完全長トータルRNA シーケンス法の開発に成功-」 http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180214_1/


※2 RNA、ゲノム、遺伝子
 ゲノムは細胞が持つ全遺伝情報であり、DNA という生体高分子に4種類の塩基の配列として記録されています。
ゲノムの中の遺伝情報が記録された領域が遺伝子です。遺伝子領域の情報は、DNA を鋳型としてRNA が合成されることで読み出されます。
 私たちの身体を構成する細胞は、ほぼ同じ遺伝子情報を持ちながら、構造や機能に変換される過程を調節することで、さまざまな個性を発揮します。この遺伝子情報の変換には、RNA という分子が仲介されることから、個々の細胞の個性を明らかにするには、RNA の網羅的な解析が有効です。

■関連リリース
 理化学研究所 トピックスのページ

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