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濃縮海水を利用する新しい膜技術の早期実用化へ サウジアラビア海水淡水化公団と覚書を締結、共同実証実験を開始

2019年10月31日 製品・展示会

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 当社は、海水淡水化プラントから排出される濃縮海水を効率的に利用する新しい膜技術の実用化に向け、10月9日、サウジアラビアの海水淡水化公団(Saline Water Conversion Corporation、以下、「SWCC」)と、当社の連結子会社であるアラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー有限責任会社(Arabian Japanese Membrane Company, LLC、以下、「AJMC」)とともに、共同実証実験の実施に関する覚書を締結しました。

調印式の様子(左からAJMCのサイードCEO、 SWCCのアルハズミ総裁、当社社長の楢原)
調印式の様子(左からAJMCのサイードCEO、SWCCのアルハズミ総裁、当社社長の楢原)

 

 雨水や地下水に乏しい中東地域では、海水から飲料水を作り出す海水淡水化プラントが多く稼働しており、中でもサウジアラビアでは、厳しい気候や人口増加、経済成長を背景にプラントの需要が旺盛です。当社は、1980年代から海水淡水化プラント用として中空糸型逆浸透膜(Reverse Osmosis = RO膜)を長年にわたり供給してきました。現在、中空糸型RO膜が作り出す真水は一日あたり約160万トンで、640万人分の使用量に相当します。

 このたび実用化を目指すのは、「ブライン(=塩水)コンセントレーション(=濃縮)膜(“BC膜”)」と呼ばれる、高濃度の海水を処理するための新しい膜技術です。当社が長年培った中空糸型RO膜の技術を応用しました。BC膜を活用することで、海水淡水化プラントで真水を製造する過程で排出される濃縮海水を希釈された海水とさらに高濃度な濃縮海水とに分離できます。希釈された海水は、海水淡水化プラントで再利用することで、造水量を増加させることが可能です。もう一方の高濃度の濃縮海水からは、蒸発・結晶化工程を通じて、効率的な有価物の回収が可能になることが期待されています。BC膜技術の実用化により、濃縮海水を余すことなく再利用する無排水化の実現に向けた取り組みを支援します。

 覚書の締結を受け、当社・SWCC・AJMCは、SWCCのAl Jubail海水淡水化プラントに設置される実証実験装置の運転を開始する予定です。BC膜の基本特性を把握するとともに運転ノウハウを確立し、早期の実用化を目指します。

 近年、海水淡水化プラントから出る濃縮海水が海中に排出される際の環境負荷が課題であるとして、SWCCは、濃縮海水の革新的な処理技術の開発に注力してきました。持続可能な海水淡水化技術の実現に向けた本取り組みは、サウジアラビアが掲げる「ビジョン2030」においても成果が期待されています。当社は、長年の実績により高い信頼性を認められた浸透膜技術を活用することで、新しい膜技術の開発・実用化に貢献していきます。

以上

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