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学校法人北里研究所・株式会社椿本チエインと共同研究契約を締結  プール法※1を用いた次世代の新型コロナウイルス多検体検査法開発へ

2021年2月2日 製品・展示会

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 東洋紡株式会社は、このほど、学校法人北里研究所、株式会社椿本チエインと「多検体検査を可能にする次世代型オートメーション技術を利用した画期的な新型コロナウイルス検査法の確立」に関する共同研究契約を2021年1月29日に締結しました。鼻咽頭ぬぐい液・唾液など、複数人分の検体をまとめて検査するプール法を採用した、次世代型の全自動多検体検査法の早期確立を目指します。なお、本研究は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が公募する「早期・大量の感染症検査の実現に向けて、新しい検査手法やシステム等の確立を目的とする開発・実証研究支援」に採択され実施されるものです。

 現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の国内の感染者数は37万人(2021年1月28日現在)を超え、我が国だけではなく、世界的規模で第3波の流行に襲われています。このような状況において、大量の検体検査と処理時間の短縮を両立する検査法の開発は、新型コロナウイルスへの感染状況の実態を把握し適切な医療を提供するためにも喫緊の課題となっています。大量の検体を効率的に検査する方法として、プール法の利用の促進が検討されています。
 プール法は、鼻咽頭ぬぐい液・唾液などの検体を採取し、検体の一部を数人分混ぜてまとめて検査する、多検体検査手法の一つです。一人一人の検体を検査する方法に比べて、検査時間や費用を削減することが期待できます。一方で、従来のプール法を活用した検査では、多検体をまとめて一度に処理しようとすると、感染者の検体が健常者の検体で希釈されてしまい、一度の検査で使用される1検体あたりのウイルスの持ち込み量が少なくなるため、検出感度が低下するなどの課題がありました。

 当社はこれまでに、独自のPCRによる高感度迅速検出技術を活用し、夾雑物を含む検体から煩雑なRNAの精製工程を行うことなく、約60分で新型コロナウイルスのRNA抽出と検出・測定が可能な、新型コロナウイルス検出キット(SARS-CoV-2 Detection Kit -Multi-)を上市してきました。
 このたびの共同研究では、当検出キット等の開発で培われた当社の技術やノウハウを生かし、北里研究所(大村智記念研究所)が保有するプール法の技術開発の要となる、「特異的抗体によるウイルス粒子、ゲノムRNAの高度濃縮技術」を活用した、試薬の開発を目指します。本技術によりウイルスを高度に濃縮・精製することで、一つの検体に含まれるウイルス持ち込み量を減らさずに維持することが可能になるため、多検体をまとめて処理する場合における検出感度の低下防止が期待できます。

 本研究において、株式会社椿本チエインはピッキングロボットと分注装置を連動させた装置の開発技術を利用し、多検体を全自動で検査するための高効率なシステムの開発に取り組みます。今後、医療現場だけでなく、迅速かつ大量の検査体制が必要とされる空港等での入国検査や、大規模な国際スポーツイベント等での検査体制構築への活用を視野に、本研究を進めていきます。

※1:多くの人から採取した検体を混ぜて一度に検査をする方法のこと。

【共同研究のポイント】

検査の信頼性・安全性向上、検体採取から結果判定までの時間短縮により、大量の検体検査に対応できる次世代型自動化システムを確立。高精度・大量のPCR検査実現と、検査員の感染リスクからの解放を目指し、以下の技術課題に取り組みます。
① プール法による多検体検査の実現と、ミスのない検体のID管理システムの運用
② 最新のDNAポリメラーゼ技術をベースに、煩雑なRNA精製作業を必要としない検査方式の確立
③ 無人化かつ夜間でも稼働可能な全自動検査システム(自動化ミニラボラトリー)の実用化
④ 新型コロナウイルス以外の感染症検査にも応用可能

 本研究は2021年3月末までの実証実験完了、2021年6月の実用化を目指します。

【参考】

・本件に関する北里研究所のプレスリリース  https://www.kitasato.ac.jp/jp/news/20210202-01.html
・本件に関する椿本チエインのプレスリリース https://www.tsubakimoto.jp/company/news/press/2021/02/02/1/

本研究は(AMED)令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究)で支援を受けています。
課題名:多検体検査を可能にする次世代型オートメーション技術を利用した画期的な新型コロナウイルス検査法の確立

 

以上

本件に関するお問い合わせ先

<リリースに関するお問い合わせ先>
東洋紡株式会社
サステナビリティ推進部 広報グループ

TEL06-6348-4210
FAX06-6348-3443

MAILpr_g@toyobo.jp

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