ニュースリリース

~海水淡水化プラントの濃縮海水を有効活用し、排水量削減に貢献~ FO膜を搭載した環境配慮型の水処理システムをSWPC・AJMCと共同開発、米国特許出願へ

 当社は、海水淡水化プラント向けに、中空糸型正浸透膜(Forward Osmosis=FO膜)を搭載した環境配慮型の水処理システムを、海水淡水化分野のコンサルタント会社SWPC社(Sustainable Water Power Consultants FZ LLC、本社:アラブ首長国連邦 アブダビ、代表:Dr.Corrado Sommariva)および当社の連結子会社であるアラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー有限責任会社(Arabian Japanese Membrane Company, LLC、以下、「AJMC」)と共同で開発し、米国へ特許を仮出願しました。今後、実証実験を重ね早期の実用化を目指します。

中空糸型正浸透(FO)膜

中空糸型正浸透(FO)膜

FO膜を利用した水処理システム 模式図

 雨水や地下水に乏しい中東地域などでは、海水から淡水を作り出す海水淡水化プラントが多く稼働しています。当社は、1970年代に、繊維事業で培った紡糸技術を応用し、水分子を通す一方で一定の大きさ以上の分子やイオンを通さない中空糸型半透膜を開発。海水淡水化プラント向けに海水を淡水に変える逆浸透膜(Reverse Osmosis = RO膜)として、長年にわたり供給してきました。現在、当社グループ製の中空糸型RO膜が作り出す真水は一日あたり約160万トンで、約640万人分の使用量に相当します。RO膜法を利用する海水淡水化プラントでは、海水から淡水を作り出す過程で通常より高濃度の濃縮海水が作り出されており、この濃縮海水を効率的に処理する方法が求められていました。

 このたび共同開発したのは、FO膜モジュールを搭載し、濃縮海水を効率よく利用することで、濃縮海水の排水量を削減するだけでなく、システム内で発生するエネルギーを利用することができる、次世代の環境配慮型の水処理システム(以下、「本システム」)です。
 本システムでは、まず、一般的な海水淡水化プラントと同様の方式を用いて、海水を複数回にわたってRO膜で処理することで塩分を除去していきます。ここでは初めに、RO膜に高圧をかけて大部分の塩分を除去することで濃縮海水(A)と淡水(B)を作ります。続いて、淡水(B)に低圧をかけて再度RO膜で処理することで、より純度の高い淡水(B’)と、海水より低濃度の処理水(C)を作り出します。
 次に、前述のプロセスで作られた低濃度処理水(C)と濃縮海水(A)を、本システム内でFO膜を隔てて接触させることで、浸透圧差により低濃度処理水側から濃縮海水側に水流が発生し、濃縮海水(A)は希釈されます(A’)。この水流により生み出されるエネルギーは、プラント内で圧力ポンプなどの動力として利用することが可能です。
 一方、希釈された濃縮海水(A’)は、通常の海水と濃度が変わらないため、RO膜を用いた淡水化に再び利用することができます。通常の海水淡水化プロセスでは、くみ上げた海水から微粒子を取り除く工程において化学薬品を使用しますが、希釈された濃縮海水(A’)を淡水化に再利用する場合は、予め微粒子が除去されているため、この工程を省くことができるので、これら化学薬品の使用コストも削減できます。

 このように濃縮海水を有効活用する本システムは、既存の海水淡水化プラントにも追加で容易に設置することが可能です。既存の海水淡水化プロセスに組み込むことにより、濃縮海水の排水量の削減に貢献するだけでなく、本システム内で発生するエネルギーを利用して造水に必要なエネルギーの一部を贖うことができるなど、大きな設備投資を伴うことなく、環境に配慮した水処理システムの実現に貢献します。

 今後、SWPC 、AJMCと協働し、実証実験を通じて安定運転のノウハウなどを確立することで、早期の実用化を目指します。本システムの普及により、環境負荷が低く、コストを抑えた海水淡水化プラントの運用を支援し、世界の水不足という課題の解決に貢献していきます。
 

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