分離膜により高効率・高純度・高収率にエクソソームを回収可能な精製技術を新開発
早期実用化に向け医薬品・診断薬への応用を目指す共創パートナー企業を募集
当社は、このほど、微小な孔とイオン交換機能を持つ分離膜を用いることで、細胞培養液等から高効率・高純度・高収率にエクソソームを回収できる精製技術を新たに開発しました※1。早期の実用化に向け、医薬品や診断薬への応用を目指す共創パートナー企業を募り、エクソソームの研究開発の進展に貢献していきます。
エクソソームは、細胞が分泌する50~150nmの微粒子(細胞外小胞)で、生体内の血液や尿などさまざまな体液中に存在しています。核酸(マイクロRNAなど)やタンパク質を内包し、細胞間の情報伝達や細胞の修復などにおいて重要な役割を持つことなどが明らかになってきており※2、近年では、がんをはじめとするさまざまな疾病の診断や治療、再生医療など幅広い領域で応用可能な次世代モダリティ※3として注目を集めています。今後も世界中で研究の進展が期待され、これに伴い、エクソソームの研究用製品の世界市場も2030年まで年率35%を超える成長が見込まれています※4。
当社が開発したのは、微細加工処理を施したイオン交換機能を持つ分離膜によるエクソソームを高効率・高純度・高収率に回収する精製技術と、これを用いたエクソソーム精製キットです。現在、エクソソームの精製には「超遠心法」を用いることが主流ですが、高額な装置を必要とするほか、精製に数時間を要することや回収したエクソソームの純度が低いことなどの課題がありました。
当社のエクソソーム精製キットは分離膜、洗浄液や溶出液などで構成され、3つの簡便な作業ステップにより精製処理を実現します。まず、吸着ステップでは、分離膜に施された微小な孔によって、生体由来試料からエクソソームやマイクロベジクルなどの微粒子とそれ以外のタンパク質などの夾雑(きょうざつ)物を選り分け、夾雑物の大半を除去します。次の洗浄ステップでは、洗浄液を用いて残存する夾雑物をさらに除去します。最後の溶出ステップでは、分離膜の持つイオン交換機能とエクソソームが持つ負電荷を利用することで純度の高いエクソソームを取り出すことができます。煩雑な前処理は不要で、この吸着・洗浄・溶出のステップにより最短約30分※5でエクソソームを精製、回収可能です。
今後、当社は、医薬品や診断薬などへのエクソソームの応用を目指す企業や研究機関などの共創パートナーを募るとともに、年内を目標にエクソソーム精製キットの試作品の提供を開始する予定です。エクソソームを高効率・高純度・高収率に回収可能な精製キットの提供を通じ、世界中で活発な研究が行われているエクソソームに関連する研究開発の進展に貢献していきます。
※1: | 本精製技術は、東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 瀬尾尚宏特任准教授との共同研究の成果として実現しました。 |
※2: | 近年の研究により、がん細胞はエクソソームを放出して転移を促進することや認知症や神経難病といった疾患にも関連があることが明らかになっています。 |
※3: | モダリティとは、低分子薬、抗体医薬、核酸医薬、細胞治療、遺伝子細胞治療、遺伝子治療などの治療手段のこと。 |
※4: | 2023年2月、Global Exosome Research Products Market - Industry Trends And Forecast To 2030 DataBridge Market Research Private Ltd.社レポートによる。 |
※5: | 5mlの培養上清(HEK293.2sus)の精製処理にかかる時間。 |
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