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    高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®」を活用した高周波伝送向け電子回路基板を大阪大学 大学院工学研究科附属精密工学研究センターと共同開発
    ―6G通信実用化に貢献―

~第38回エレクトロニクス実装学会春季講演大会「優秀賞」受賞~
高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®」を活用した高周波伝送向け電子回路基板を大阪大学 大学院工学研究科附属精密工学研究センターと共同開発
―6G通信実用化に貢献―

2024年12月2日 製品・展示会

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 東洋紡株式会社(所在地:大阪市、代表取締役社長:竹内郁夫、以下「当社」)は、このほど、6G通信の実用化に貢献する、高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®」を活用した高周波伝送向けの電子回路基板を、国立大学法人大阪大学 大学院工学研究科附属精密工学研究センター(所在地:吹田市、総長:西尾章治郎、以下「大阪大学」)と共同開発しました。本件の成果について、2024年3月に開催された、一般社団法人エレクトロニクス実装学会(所在地:東京都杉並区、会長:藤崎晃氏、以下「エレクトロニクス実装学会」)が主催する「第38回 エレクトロニクス実装学会春季講演大会」で口頭発表し、このほど「優秀賞」を受賞しました。

 

高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®」

高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス®

授賞式の様子左より東洋紡フイルム新事業開発総括部の土屋、エレクトロニクス実装学会の齊藤副会長

授賞式の様子、左より東洋紡フイルム新事業開発総括部の土屋、エレクトロニクス実装学会の齊藤副会長

 

 次世代の通信技術として2030年代の実用化に向け研究開発が進む6G通信では、IoTを活用した無人工場やAIが車両を制御する完全自動運転、仮想現実(VR)空間におけるテレワークなど、超高速・大容量通信による新たなデジタル社会・インフラ・サービスなどの実現が期待されます。最大1,000Gbpsを超える高速通信と超低遅延が特徴の6G通信において、通信技術の高度化を支える高周波伝送に対応可能な機器の開発が不可欠です。機器に搭載する電子回路基板には、高周波信号の伝送損失が少ない材料(低損失材料)としてフッ素樹脂が用いられるのが一般的ですが、なかでもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が最も優れた特性を有します。PTFEは加熱により膨張し易い性質を持つため、電子回路基板形成時などの熱処理の際の膨張を抑えるための補強材として、従来は寸法安定性※1に優れるガラスクロスが用いられてきましたが、5G・6Gと通信の高速化に伴い、スマートフォンなど小型の通信機器で回路の高密度化が更に進展するため、ガラスクロスよりも薄く、均一な厚さの補強材が求められています。

 

 当社の「ゼノマックス®」は、ガラスと同等で、かつポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を有する高耐熱性ポリイミドフィルムです。「薄い」「軽い」「曲がる」フィルムの特性を生かすことで、これまで有機ELディスプレーや電子ペーパーなどの回路基板材として採用されてきました。当社と大阪大学は共同で、元来他素材と非常に接着しづらいPTFEの補強材として「ゼノマックス®」を用いるため、大阪大学大学院 工学研究科附属精密工学研究センター(センター長:山村和也) の大久保雄司准教授らの研究グループが開発した、PTFEの表面粗さを増加することなく接着性を向上させる特殊プラズマ処理技術と、当社独自の材料技術や製膜技術を駆使した「ゼノマックス®」を応用。両者の技術の融合により伝送損失の低減と寸法安定性を実現した、6G通信向け電子回路基板の開発に成功しました。

 

 このたびの共同開発の成果について、当社と大阪大学は2024年3月開催の「エレクトロニクス実装学会第38回大会」において、テーマ名「PTFEと低CTEポリイミドの直接接着法および低伝送損失基板の開発」として口頭発表(一般講演)を行い、100件を超える発表の中から、実用性が高く特に優れた取り組みとして「優秀賞」を受賞し、9月12日に大同大学(名古屋市)で開催された授賞式において表彰されました。エレクトロニクス実装学会は、1998年に発足した国内最大級のエレクトロニクス実装技術に関わる学会です。学界・産業界の第一線で活躍する約2,400 名の研究者および技術者で構成され、日本のエレクトロニクス産業のコア技術である実装技術※2に関する研究開発の発展や技術者の育成を目的として活動しており、毎年春と秋には、全国から最新の実装技術の研究成果を集めた講演大会を主催しています。

 

 当社は今後、高速通信ネットワーク機器の性能の向上に貢献する電子回路基板の実用化に向けて、大阪大学と連携しながら取り組みを加速し、6G通信の早期の実現に貢献できるよう努めていきます。また、高い寸法安定性と耐熱性を有する「ゼノマックス®」の特長を生かした、新たな用途展開を進めてまいります。

■第38回エレクトロニクス実装学会春季講演大会 口頭発表 優秀賞 受賞者:

(東洋紡株式会社 フイルム新事業開発総括部※3)土屋 俊之、小野 光登里

(大阪大学大学院 工学研究科附属精密工学研究センター)梶丸 大希、山村 和也、大久保 雄司  /計5名

 

 

※1: 温度の変化に対して物質(材料)の寸法(サイズ)の変化が起こりにくい性質。
※2: 半導体や電子部品などをプリント配線板などにはんだなどの接合材料で電気配線と固定を兼ねた接続を行い、筐体の中に収納することにより、目的の性能をもった電子機器を作る技術のこと
https://jiep.or.jp/old/publish/journal/pdf/93/93f.pdf より引用)。
※3: 受賞当時の所属。
   

 

以上

本件に関するお問い合わせ先

東洋紡株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
TEL 06-6348-4210
MAIL pr_g@toyobo.jp

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