大津医薬工場に無菌注射剤の新設備を竣工
―日・米・欧の三極GMP※1に同時対応、2026年1月稼働開始へ―
当社は、このほど、総合研究所(滋賀県大津市)内にある大津医薬工場において、抗体医薬品や核酸医薬品などのバイオ医薬品を対象とした無菌注射剤の受託製造を行う新設備を竣工しました。日本の厚生労働省、米国食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)の三極における最新のGMP※1(医薬品製造時管理基準)に同時対応が可能。高品質な無菌注射剤の受託製造を2026年1月に開始する予定です。
大津医薬工場の外観
6月30日開催の竣工式の様子
バイオ医薬品は、抗体や核酸などを用いた医薬品で、がんや希少疾患などへの高い治療効果が期待されることから世界中で需要が高まり、年率約8.5%※2で市場が拡大しています。これらバイオ医薬品の多くは、体内に直接投与される「無菌注射剤」に分類されます。特に抗体医薬品や核酸医薬品は、「バイアル製剤」※3として提供されることが一般的で、製造には高度な無菌環境や特殊な設備、厳格な品質管理体制が求められます。また、バイオ医薬品のグローバル展開には、日本・米国・欧州の各当局が定める最新のGMPなどに対応する製造・品質管理体制が不可欠です。バイオ医薬品は開発コストが高くなる傾向があることから、近年、製薬企業は新薬の研究開発にリソースを集中する一方で、医薬品製造は専門性の高いCDMO※4やCMO※4に委託する水平分業化が進んでいます。
かかる状況下、当社はこのほど、大津医薬工場において抗体医薬品や核酸医薬品などにも使用可能な無菌注射剤の製造設備を新設しました。これまで国内のGMPのみに対応していた製造設備を更新し、日本・米国・欧州の三極GMPに準拠した医薬品の製造体制を増強。グローバル市場への供給を見据えた高品質な医薬品受託製造に対応します。この新設備では、アイソレーターやRABS等のバリアシステムおよび自動滅菌・洗浄装置を導入することにより、無菌性の向上や製品均一性の確保はもとより、製造作業の効率化を図るなど、生産性の向上に貢献します。また、自動・連続環境モニタリングや電子記録対応により、DI(データインテグリティ)※5レベルを向上させることで、製造プロセスの透明性と信頼性を高め、国内外の規制要件への対応力を強化するとともに、安定した品質管理体制を構築します。当社ではこれまで100件以上の無菌注射剤の製造受託の実績があり、今後も小スケールの製剤化検討から、治験薬製造や市販薬製造に至るまで、選別・包装・品質試験も含めた受託体制により、顧客のニーズにきめ細やかに対応していきます。
6月30日に開催された竣工式には、協力会社や当社の関係者合わせて約30名が出席。当社代表取締役社長の竹内郁夫は、「日・米・欧の三極GMPに対応する高品質な製造体制を整えた無菌注射剤の新設備を活用することで、安全で信頼性の高い医薬品を世界の患者様に届けるために貢献したい」と決意を述べました。
※1: | GMP (Good Manufacturing Practice)とは、日・米・欧など各地域当局が定める医薬品の製造管理や品質管理の基準。 |
※2: | バイオ医薬品市場レポートなどをもとに当社予測。 |
※3: | バイアルとは、注射剤などの保管に使用される容器。ガラス容器が使用されることが多い。 |
※4: | CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)は医薬品開発・製造受託機関、CMO(Contract Manufacturing Organization)医薬品製造受託機関のこと。 |
※5: | 「データの正確性・完全性・信頼性を保証すること」を指す用語。 |
新設した製造設備の概要
所在地 | : | 滋賀県大津市堅田2-1-1(東洋紡株式会社 総合研究所内) |
稼働 | : | 2026年1月 |
生産品目 | : | 無菌注射剤 |
以上
本件に関するお問い合わせ先
東洋紡株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
TEL 06-6348-4210
MAIL pr_g@toyobo.jp
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