コンプライアンス
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マネジメントアプローチ
考え方・方針
当社グループは、『順理則裕』の企業理念の下、「なすべきことをする、なすべからざることはしない」をコンプライアンスの核としています。
また、「東洋紡グループ企業行動憲章」で宣言した原則に基づき、従業員が守るべきルールを「東洋紡グループ社員行動基準」として定め、これを具体的に分かりやすくまとめた「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」の配布、読み合わせによって、グループ従業員の理解の促進とルールの周知徹底を図っています。
<東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル/東洋紡グループ社員行動基準(項目のみ抜粋)>
(2024年9⽉1⽇ 第23版)
- 〈持続可能な社会への貢献〉
- 持続可能な社会への貢献
- 〈正しい事業慣行〉
- 企業秘密の取り扱い
- 個人情報の取り扱い
- 公正な取引の実施
- 下請事業者との適正な取引
- 責任ある調達・物流
- 輸出入に関するルール
- 安全保障貿易管理(輸出管理)
- 贈答接待の取り扱い(贈収賄防止)
- 政治献金等の取り扱い
- 知的財産
- 適正な経理処理
- 契約締結
- 与信管理
- 〈ステークホルダーとのコミュニケーション〉
- 適時・適切な情報開示
- インサイダー取引の禁止
- 〈人権の尊重〉
- 人権の尊重
- 〈信頼・満足の獲得〉
- 製品・サービスの品質と安全性の確保
- 製品・サービスに関する情報提供
- 品質データ等の適切な取り扱い
- 研究開発活動に関するルール
- お客さま等への対応
- 〈従業員の活躍〉
- 職場における多様性の尊重
- ハラスメントの防止
- 安全・衛生
- 適正な労働時間管理
- 〈環境問題への取り組み〉
- 地球環境に配慮した事業活動
- 〈社会貢献〉
- 社会貢献の推進
- 〈危機管理の徹底〉
- 保安・防災
- 海外における危機管理
- 反社会的勢力等への対応
- サイバーセキュリティの確保
- 社会のルール
体制
経営会議のメンバーが委員となり、経営の観点からグループ全体のコンプライアンスを推進するコンプライアンス委員会と、その下に具体的な取り組みを検討するコンプライアンス推進委員会を置き、両委員会の事務局である法務・コンプライアンス部がグループ全体にわたって法令順守およびコンプライアンスを推進します。
コンプライアンス推進サイクル
P コンプライアンス推進活動計画の策定
- 推進体制
- 実施計画
D ルールの周知と啓発
- 「コンプライアンスマニュアル」の改訂と配布
- 「コンプライアンスマニュアル」の読み合わせ
- コンプライアンス勉強会
- 階層別コンプライアンス研修
- グループ報による情報発信
- ケーススタディレポート発行による啓発
- 「コンプライアンス徹底月間」
C 問題点の抽出
- 「コンプライアンスチェック」
- 「コンプライアンスアンケート」
- 「コンプライアンス相談窓口」
- 「監査等委員会・内部監査部による監査」
A 問題点の是正
- 問題の解決と対策の実施
- 水平展開
- 次年度計画への反映
目標と指標
目標
従業員一人一人が法令・ルールを順守し、誠実な行動を徹底します。高い倫理観を共有し、信頼される企業風土・文化の醸成を目指します。
指標と実績
取り組み項目 | 目標(2024年度) | 実績(2024年度) | |
---|---|---|---|
コンプライアンス意識の向上 | コンプライアンスアンケートの比率改善 | ||
コンプライアンスを重視している会社か | 「そう思う」「まあそう思う」 83%(前年度比+5%) | ||
ケーススタディレポート「コンプライアンスミニスタディ」の認知度 | 「毎回読んでいる」「ときどき読んでいる」「興味のあるテーマを読んでいる」 79%(前年度比+2%) | ||
コンプライアンス勉強会、各種研修の充実 | |||
コンプライアンス勉強会(管理者)、各種研修の実施回数 | コンプライアンス勉強会:受講義務者100%受講各種研修:30回開催 | ||
コンプライアンス相談窓口の 認知度・活用 |
コンプライアンスアンケートの比率改善 | ||
コンプライアンス相談窓口の認知度 | 91%(前年度比+2%) | ||
利用のしやすさ | ー※1 | ||
自浄作用(不利益情報の隠ぺい回避) | 83%※2 | ||
対応件数の開示 | 116件 | ||
重大な法令等の違反件数の開示 | ー | 0件 | |
|
取り組み
コンプライアンス推進活動
2024年度は、コンプライアンス委員会を2回、コンプライアンス推進委員会を4回開催し、「言える化と聴ける化で組織力強化」をキャッチフレーズにコンプライアンス意識の向上に向けた啓発活動、教育/研修、コンプライアンス相談対応、海外・多言語対応の窓口(グローバル内部通報窓口)の設置等に取り組みました。
コンプライアンス相談窓口
当社グループは、従業員・役員向けのコンプライアンス相談窓口(内部通報窓口)を設置しています。職場での法令・ルール違反行為、不正行為、反倫理的行為(汚職・贈収賄・横領などの腐敗行為、談合・カルテルなどの競争法に違反する行為、いじめ・ハラスメントを含みます)に関する通報・相談を受け、問題の早期発見や是正および未然防止に努めています。
2024年度より、海外・多言語対応の窓口(グローバル内部通報窓口)の設置に取り組み、順次整備を進めています。
窓口を安心して利用できるよう、相談者の秘密を守ること、相談・通報により相談者に不利益が生じないことを保証しており、匿名での相談も受け付けています。
相談窓口の利用案内シールの配布やコンプライアンスミニスタディ等の発信を通じて窓口認知度向上に努めています。
相談の対象となる項目
- 法令や社内規程、ルールなどについての違反・不正行為
- コンプライアンスマニュアル「社員行動基準」に反する行為
- 職場における各種ハラスメント
- その他コンプライアンス上の問題で判断に迷った相談 など
- 海外窓口については、重大な違反・不正行為、経営幹部の不正行為を対象としています。
コンプライアンス相談窓口の種類
- 社内相談窓口
- 社外専門サービス会社窓口(グローバル内部通報窓口を含む企業倫理ホットライン)
- 社外弁護士窓口
- 監査等委員会窓口
2024年度の相談件数は116件(うち社外相談窓口への相談件数は11件)でした。内訳として、コミュニケーション・人間関係・ハラスメントが最も多く、次いで人事・労務関係(勤怠・処遇等)が続きました。違反・不正等が認められた場合の是正措置や処分の勧告、相談者へのアドバイスや質問に対する回答などを行いました。
コンプライアンス相談窓口(内部通報窓口)相談件数
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
---|---|---|---|---|
37 | 62 | 78 | 102 | 116 |
相談内容(2024年度)
相談内容 | 件数 |
---|---|
コミュニケーション・人間関係・ハラスメント | 40 |
人事・労務関係(勤怠・処遇等) | 22 |
不正・違反・業務上のルール違反等 | 7 |
会社全体(制度・方針他)について、職場の問題など | 18 |
勤務態度 | 3 |
その他 | 26 |
合計 | 116 |
コンプライアンス相談窓口における対応の流れ
- 窓口にて相談・通報を受け付け、内容を確認
- 窓口、関係部門・会社にて事実調査(証拠の確認、行為者や第三者へのヒアリングなど)を実施
- 事実調査の結果に基づき、違反・不正等の有無やその程度を評価
- 違反・不正等が認められた場合、その内容に応じて関係部門・会社において是正策や再発防止策を実施し、行為者への注意指導や懲戒処分を実施。また、グループ全体に向けた再発防止策を実施
- 窓口にて相談・通報者へフィードバックを行い、必要に応じ是正状況などをフォローアップ
教育・啓発活動
コンプライアンスマニュアルの作成・改定・周知
経営倫理規定である「東洋紡グループ企業行動憲章」で宣言した原則に基づき、東洋紡グループの全従業員が守るべきルール「東洋紡グループ社員行動基準」を定めています。
社員行動基準を具体的にわかりやすく解説した「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を2000年に発行し、全従業員に配布しています。以後、グローバル版(英語・中国語)も加え、順次改定を行いました。海外の各拠点においては、活動する国・地域の法令・慣習に合わせて編集を加えた現地版を作成するなど工夫しています。
各職場でのコンプライアンスマニュアルを用いた研修(読み合わせ)などを通して、企業行動憲章、社員行動基準を周知しています。
コンプライアンスマニュアルの項目には、汚職、贈収賄などの腐敗行為の防止に加え、談合・カルテルや不正競争防止、不正会計防止、安全・衛生、適正な労働時間管理、いじめ・ハラスメントの防止などが含まれています。
コンプライアンス徹底月間の啓発活動
毎年10月を東洋紡グループのコンプライアンス徹底月間と定め、社長によるトップメッセージの発信、コンプライアンスマニュアルの読み合わせ、コンプライアンス勉強会の開催、コンプライアンスアンケートの実施など、各種の取り組みを全グループが一丸となり行っています。また、ポスターやデジタルサイネージを活用することにより、相談窓口情報の周知徹底を図っています。
コンプライアンス勉強会(研修)の開催
2024年度は、東洋紡全ての事業所、関係会社の管理者(部長、マネジャー、課長などの管理職や係長など)・一般従業員を対象としたコンプライアンス勉強会(研修)を動画で配信しました。
コンプライアンス部門、人事・労務部門が講師となり、コンプライアンス全般、ハラスメントをテーマとし、延べ4,472人(うち受講義務者812人)が受講しました。
各種研修
管理職、新入社員、営業職、海外赴任者などの階層別、職種別を対象とした研修の中でコンプライアンス教育を実施しています。2024年度は、各種研修を合わせて30回実施しました。
当社の重要課題である安全、品質、コンプライアンス(経理不正防止、いじめやハラスメント防止など)をテーマとして、当社管理職を対象とした討議型の研修も行いました。
ミニスタディ、レポートの発行
コンプライアンスに関するテーマを取り上げケーススタディ形式で啓発する「コンプライアンスミニスタディ」(奇数月:日本語版、偶数月:多言語版発行を原則)や、職場における違反事例などを基にした「コンプライアンスレポート」(不定期)を発行しています。
コンプライアンスリスク評価
毎年、コンプライアンス徹底月間に無記名のアンケートを実施しています。アンケートによりコンプライアンス意識の状況や東洋紡グループ各社のコンプライアンスに関する問題の有無・内容を把握し、問題があればその是正やコンプライアンス活動の改善に取り組んでいます。アンケートは回答者自身によるコンプライアンスチェックを兼ねており、定期的な実施により、組織全体のコンプライアンス意識のより一層の向上を目指しています。
2024年度は7,660人の従業員から回答がありました。アンケートの集計・分析結果は、全従業員に開示するとともに、記載された個別の問題や課題について、記入者が特定されない形で関連部門とも情報共有し、状況改善や問題発生の防止に役立てています。
腐敗防止に対する取り組み
当社グループは、汚職、贈収賄などの腐敗行為の防止に加え、談合・カルテルや不正競争防止、不正会計防止をコンプライアンスの重要課題として位置付けています。特に贈収賄などの腐敗防止については、ポリシーや規程のほか、贈答接待を行う場合の判断や金額基準などの具体的ルールを記載したガイドラインを定め、コンプライアンスマニュアルへの記載や各種研修などでの説明を通じて、周知徹底を図っています。
また、お取引先さまとの公正で健全な取引関係を構築するため、贈答接待を受ける場合のルールとして、金銭・金銭同等物の受領や社会通念の範囲を超える贈答接待については辞退するとともに、贈答接待を受けた場合の受領報告制度を導入しています。2024年度は贈答接待を受けることが比較的多い部門を対象に調査を行い、調査の結果、問題となる贈答接待がなかったことを確認しました。
2021年度に、全社リスクマネジメント活動の一環として、リーガルコンプライアンスリスクに関するアセスメントを実施しました。各種リスクシナリオをベースとして、影響度と発生可能性の2軸で評価した結果、各事業部門において贈収賄などの腐敗リスクは相対的に低いことを確認しました。
2022年度から2024年度上期末にかけて、グループ会社の重大リスク(リーガルコンプライアンスリスクを含む)調査を実施しました。海外拠点を含めたリスクアセスメントとして、想定されるリスクシナリオを基に対話を行い、リスク対応状況を確認しました。その結果、引き続き腐敗リスクが相対的に低いことを確認しました。
2024年度は、腐敗行為に関する法令違反や行政処分、従業員の解雇、罰金・課徴金などはありませんでした。
取締役による監督
毎年、腐敗防止の取り組みを含むコンプライアンス活動状況について取締役会に報告し、社外取締役・監査役(2025年6月より監査等委員)からも、社外の視点を踏まえた実効的な監督を受けています。