• トップ
  • ニュースリリース
  • ~次世代の再生可能エネルギー発電システムの実用化に貢献~ 当社の中空糸型正浸透膜(FO膜)がデンマークの世界初※1の浸透圧発電プラントに採用

~次世代の再生可能エネルギー発電システムの実用化に貢献~ 当社の中空糸型正浸透膜(FO膜)がデンマークの世界初※1の浸透圧発電プラントに採用

2023年2月20日 製品・展示会

このニュースをPDFで表示 ( 431KB )

 当社の中空糸型正浸透膜(Forward Osmosis=FO膜)が、デンマークのベンチャー企業SaltPower社(本社:デンマーク・セナボー、代表・CEO:Lars Storm Pedersen)が世界で初めて実用化に成功した※1浸透圧発電プラントに採用されました。デンマークのマリアージャにあるNobian社(本社:オランダ・アーメルスフォールト、代表・CEO:Michael Koenig)の製塩工場に設置され、2023年4月中に稼働を開始する予定です。

新たに完成した総合研究所パイロットプラント棟

浸透圧発電プラント

竣工式の様子

浸透圧発電の仕組み

 浸透圧発電とは、2種類の溶液の浸透圧差を利用して発電するシステムです。地下岩塩層や地熱水などの天然資源が豊富に存在する欧州を中心として、天候や昼夜に関わらず安定的に稼働し、太陽光や風力と同水準のコストで発電が可能であることから、次世代の再生可能エネルギー発電システムとして注目を集めています。

 このたびSaltPower社が実用化に成功した浸透圧発電プラントでは、製塩工場で使用するため地下の岩塩層※2からくみ上げられた飽和濃度に近い高濃度の塩水と淡水との塩分濃度の差を利用し、100kw規模の発電を実現します。水分子を通し塩分など一定の大きさ以上の分子やイオンを通さない性質を持つ当社のFO膜を隔てて高濃度の塩水と淡水を接触させると、浸透圧差により塩水側に水が移動し、流量が増加します。この流量の増加を利用してタービンを回すことで発電する仕組みです。

新たに完成した総合研究所パイロットプラント棟

中空糸型正浸透(FO)膜

竣工式の様子

クロスワインド構造

 当社のFO膜は、円筒形の圧力容器に高密度に中空糸を充填した半透膜の一種です。クロスワインド構造をはじめとする独自の内部構造により、高濃度の塩水と淡水の双方がFO膜内部で均一に流れ、浸透圧差から生じる流量の増加を、高効率に発電量に転換できます。また、海水淡水化向けRO膜の開発で培った技術により優れた耐圧性能を備えるため、高効率な浸透圧発電に必要な高い運転圧力にも対応し、高い発電効率を維持することが可能です。これまで、SaltPower社などが運営する浸透圧発電のパイロットプラントにも採用されており、実証実験を重ねてきた結果、このたびの実用化に至りました。
 SaltPower社は今後、地下から塩水を汲み上げる方式を採用する製塩工場や、塩の電気分解を伴うクロール・アルカリ製品のメーカー向けに応用可能な浸透圧発電システムを、欧州地域で積極的に展開していくことを計画しています。また、SaltPower社は、浸透圧発電の過程で生じる岩塩空洞を、次世代クリーンエネルギーと期待される水素の地下貯蔵庫として活用することで、低炭素経済への移行にさらなる貢献ができると期待しています。
当社はこれからもSaltPower社と共同で、将来有望な再生可能エネルギーの一つである浸透圧発電の普及を支援するとともに、当社独自の中空糸膜技術を、低コストで環境負荷を低減する海水淡水化膜プラントや、工場排水の濃縮などに応用していくことにより、世界の環境課題の解決に貢献していきます。

■ 当社の半透膜事業について
 当社は、1970年代に、繊維事業で培った紡糸技術を応用し、水分子を通す一方で一定の大きさ以上の分子やイオンを通さない中空糸型半透膜を開発。海水を淡水に変える逆浸透膜(Reverse Osmosis = RO膜)として、長年にわたり海水淡水化プラント向けに供給してきました。現在、中東地域において当社グループ製の中空糸型RO膜が作り出す真水は一日あたり約160万トンで、約640万人分の使用量に相当します。

※1: 商業規模での実用化が世界初、2023年2月16日時点、当社調べ。
※2: 製塩工場では、地下にある岩塩層に地上から水圧ポンプにより圧力をかけて水を送り、飽和濃度に近い塩水をくみ上げ、製塩に活用している。

以上

本件に関するお問い合わせ先

<リリースに関するお問い合わせ先>
東洋紡株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ

TEL06-6348-4210
FAX06-6348-3443

MAILpr_g@toyobo.jp

※掲載されている情報は、発表日現在のものです。
その後、内容が変更になっている場合がありますので、あらかじめご了承ください。

注意事項

本ホームページに記載されている業績見通しならびに事業計画は、各資料発表時点において弊社の経営方針にのっとり入手可能な情報および弊社が合理的であると判断した一定の前提に基づいて作成したものです。したがって、顧客の設備投資の動向、為替相場の動向など、様々な要因の変化により、実際の業績は記述されている見通しとは、異なる結果となり得ることをご承知おきください。