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    微生物による天然由来の界面活性剤「マンノシルエリスリトールリピッド」利用分野拡大へ革命的生産システム開発の取り組みを開始

NEDO「バイオものづくり革命推進事業」実施予定先に採択
微生物による天然由来の界面活性剤「マンノシルエリスリトールリピッド」利用分野拡大へ革命的生産システム開発の取り組みを開始

2024年2月6日 製品・展示会

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 当社は、このほど、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)が公募する「バイオものづくり革命推進事業」の実施予定先※1として採択されました。これを受けて当社は、NEDO の支援のもと、微生物を使って生産する天然由来の界面活性剤「マンノシルエリスリトールリピッド」の利用分野拡大に向けた革命的生産システムの開発について、取り組みを開始いたしましたのでお知らせいたします。

 

微生物が生産する界面活性剤「マンノシルエリスリトールリピッド」

微生物が生産する界面活性剤「マンノシルエリスリトールリピッド」

 

 「バイオものづくり」は、遺伝子技術を活用して微生物や動植物等の細胞から有用な目的物質を生産する新しいテクノロジーです。これまでの化石資源を原料とした化学的な製造プロセスと異なり、多段階の化学反応を必要としないことや、自然条件下で製造可能などの特長から、温室効果ガスの排出削減や化石資源原料の使用削減などに寄与し、「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」の実現に貢献する「サステナブル(=持続可能)なものづくり」として近年ますます期待が高まっています。「バイオものづくり」で生産される有用物質には、生分解性プラスチック、バイオ燃料、細胞性食肉、バイオ界面活性剤等があり、化学素材、燃料、医薬品、動物繊維や食品等、幅広い産業分野での活用が見込まれています。

 

 当社は、このたびのNEDO「バイオものづくり革命推進事業」の採択を受け、国立研究開発法人産業技術総合研究所(所在地:東京都千代田区、理事長:石村和彦、以下「産総研」)と共同で、微生物(酵母)が生産する天然由来の界面活性剤、マンノシルエリスリトールリピッド(以下、「MEL」)の利用分野拡大に向けた革命的生産システムの研究・開発を進めていきます。

 

 界面活性剤とは、界面(物質の境の面)に作用して性質を変化させる物質の総称です。親水性と親油性の両方の性質を有し、水と油を混ぜ合わせるのに役に立つことなどから、石鹸や洗剤、シャンプー、食品添加物、医薬品などの成分として幅広く使用されています。従来の界面活性剤の多くが石油由来の原料から作られるのに対し、MELは自然界に存在する微生物(酵母)を用いて植物油脂などを発酵させることにより生産する天然由来のサステナブルな界面活性剤です。低炭素社会への意識が高まる中、石油由来原料による合成界面活性剤を代替するものとして注目が高まる一方で、生産コストの面から一部の化粧品原料などに使用分野が限られるなど普及に課題がありました。

 

 当社は、2004 年、新規バイオ素材の開発検討過程においてMEL の可能性に着目し、産総研と共同研究を開始。当社がバイオ事業で長年培った微生物の発酵・培養技術と、産総研の持つ界面物性の評価・構造解析の知見を融合することにより、2009 年には、業界に先駆けてMEL を活用した保湿剤向け化粧品原料「セラメーラ®」の製品化を実現しています。

 

 当社は今後、産総研と共同でMELの生産性を向上するための高生産菌の開発や、連続培養生産およびスケールアップ技術、分離・精製・加工技術などの開発に取り組んでいきます。また、植物油脂に替えて廃食油をMEL の原料とする技術開発も進めるなど、未利用資源を有効活用することで環境負荷の低減を図りながら、大幅なコストダウンを可能にする「革命的生産システムの開発」を実現し、利用分野の拡大を目指します。2025 年頃までに化学農薬の使用量を低減する農業用展着剤※2、牛のゲップに含まれるメタンの排出量を低減する飼料配合剤や、衛生材のコーティング剤など、付加価値の高い新規用途での展開を計画しています。

 

 当社は、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」※3に掲げる通り、次世代型界面活性剤MEL の利用分野の大幅な拡大を可能にする経済的な生産技術や生産システム、さらにはMEL 応用製品の開発・販売を通じて「バイオものづくり」を強力に推進することで、「脱炭素社会&循環型社会」の実現に貢献できるよう努めていきます。

 

■当社のバイオ事業について

1948 年、レーヨンの原料となるパルプの廃液処理のため、酵母の培養・研究を開始し、バイオ事業に進出。70年以上に渡り、機能性タンパク質の生産・培養・精製・組み換え技術を蓄積し、健康診断で用いられる臨床検査薬用の酵素、PCR 検査向けの核酸増幅用(PCR)酵素や遺伝子検査試薬などを上市しています。

 

■マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)について

植物油脂などを原料にして、微生物(酵母)によって生産される天然由来の界面活性剤(バイオサーファクタント)の一種。石油由来の合成界面活性剤と比較して、低濃度でも優れた界面活性や、天然由来で安全性や生分解性が高いなどの特長を持つ。当社は産総研と共同でMEL を応用した化粧品原料「セラメーラ®」を開発・製品化するなど、同分野の先駆けとしてMEL の生産技術等に関する特許を多く保有。

マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)について
マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)について
 

※1: 2023 年9 月26 日付:「バイオものづくり革命推進事業」に係る実施体制の決定について  https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101688.html

※2: MEL の利用用途の1つ、農業用展着剤特設ページ:https://www.toyobo.co.jp/discover/materials/surfmellow/

※3:東洋紡「サステナブル・ビジョン2030」:https://www.toyobo.co.jp/sustainability/group_sustainability/vision/

以上

本件に関するお問い合わせ先

東洋紡株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
TEL 06-6348-4210
MAIL pr_g@toyobo.jp

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