抗体医薬品精製工程向け「カチオン成分分離膜デバイス」を新開発 ―膜デバイス製品「TerpSep™」シリーズラインアップを拡充、分離ニーズに幅広く対応―
東洋紡株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:竹内郁夫、以下「当社」)はこのほど、大塚化学株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:土佐浩平、以下「大塚化学」)と共同で、抗体医薬品製造プロセスにおける精製工程向けに正の電荷を帯びた不純物(陽性荷電性物質)の除去性能に優れた「カチオン成分分離膜デバイス」を新たに開発しました。
新開発のカチオン成分分離膜デバイス外観
抗体医薬品は、特定の抗原に結合する性質の抗体を利用した医薬品です。高い治療効果や副作用の軽減が期待される一方、製造工程においては多段階で複雑な処理が必要なため、生産効率の向上が求められています。抗体医薬品の製造プロセスは、主に細胞を培養して抗体を生産する培養工程と、培養した細胞から抗体を精製・回収する工程に分かれ、後の精製工程が全体の約 6 割のコストを占めると言われています※1。
当社と大塚化学はこれまで、抗体医薬品の精製工程向けに、従来のアフィニティカラム方式に比べて作業工程数を4分の1に削減することで大幅な作業時間の短縮を可能にする「アニオン成分分離膜デバイス」※2や、目詰まりを低減することでスループットを当社従来品の2倍に向上し作業時間を3分の1に削減可能なウイルス除去膜※3などを開発・展開。抗体医薬品の製造プロセスにおける生産性向上に貢献してきました。
このたび新たに両社が共同開発したのは、大塚化学が持つ荷電性物質を特異的に吸着可能なポリマーを当社の精密な孔径制御技術により中空糸膜化することで、目詰まりの抑制と不純物の吸着性能を両立した「カチオン成分分離膜」と呼ばれる分離膜デバイスです。抗体医薬品は種類によって、分離対象の抗体が負の電荷(アニオン)だけでなく正の電荷(カチオン)を持つ場合があるため、「アニオン成分分離膜」だけでは高精度の分離が困難でした。アニオン成分分離膜デバイスをはじめとする分離膜の開発で培った技術・ノウハウを水平展開することで開発した「カチオン成分分離膜デバイス」は、工程数の削減や作業時間の短縮に寄与するという同じ特長を有します。「カチオン成分分離膜デバイス」を、当社と大塚化学の手がける抗体精製用・中空糸膜デバイス製品「TerpSep™」シリーズのラインアップに新たに加えることにより、医薬品の有用物質である抗体とその他の不純物を選り分ける精製工程の分離ニーズに幅広く対応します。
抗体医薬品市場は2030年まで年率約15%※4で拡大が見込まれており、精製工程の効率化・高品質化に対するニーズが一層高まる中、当社は今後、抗体医薬品製造プロセス分野における膜デバイス製品の展開・拡大に注力し、2030年度に数十億円規模の売上を目指していきます。尚、両社は10月8日(水)~10日(金)までパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催の「BioJapan 2025」に出展し、「カチオン成分分離膜デバイス」をはじめとする各種分離膜デバイスを初公開する予定です。
「BioJapan 2025」 展示会概要
・会期 | : | 10月8日(水)~10日(金) 10:00-17:00 |
・会場 | : | パシフィコ横浜 |
・ブース番号 | : | C-58 |
アニオン・カチオン成分分離膜デバイスの特長
※1: | 統計資料などをもとに当社推計 |
※2: | 2025年6月16日付 当社プレスリリース: 抗体医薬品製造プロセス精製工程向けに分離膜デバイスを新開発~従来方式の代替で精製時の作業工程数を4分の1に削減、生産性向上に貢献~ |
※3: | 2025年5月19日付 当社プレスリリース: バイオ医薬品精製プロセスの生産性向上に貢献する、ウイルス除去膜を新開発―目詰まり抑制により透過量2倍、ウイルス除去工程処理時間を3分の1に短縮― |
※4: | 統計資料などをもとに当社推計 |
以上
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